在庫だけの問題じゃない? ウクライナへの戦車供与が全く捗らないもうひとつの理由

西側戦車に懸賞金…? 供与が進まない別の理由

 西側戦車の実際の供与が進まないのには、別の理由もあるようです。すなわち、ロシアに鹵(ろ)獲されることを恐れている、というものです。

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ウクライナ軍に鹵獲された、ロシア軍のT-90A戦車(画像:ウクライナ国防省)。

 戦場では、敵の兵器を鹵獲することは普通に行われており、性能を調査研究することはもちろん、再整備して自国戦力に組み入れることもあります。ウクライナ軍が、鹵獲したロシア軍戦車を使って戦力を補完しているのは周知のことです。さらに最新のロシア戦車であるT-90Aもすでに9両、鹵獲しています。

 強力な新兵器を戦線に投入したいのはやまやまですが、鹵獲されて能力が露見してしまうリスクとのジレンマになります。実際、ロシア軍戦車の追加装甲の中身などがSNSに晒されました。

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ウクライナに送られる予定の「レオパルト2A6」。なお現行最新版は2A7V(画像:synaxonag、CC BY 2.0〈https://bit.ly/3mCCVrc〉、via Wikimedia Commons)

 一方でロシアにしてみると、西側製戦車が投入されることは、これを恐れつつもサンプルを手に入れるチャンスにもなります。ロシアの企業家、知事、そしてテレグラム・チャンネルまでもが、西側の最新型戦車に賞金を出すと約束しています。その額は、M1や「レオパルト2」で500万ルーブルから1000万ルーブル(およそ900万円から1800万円)となっています。鹵獲する気満々です。

【お下がり】「レオパルト2」現行最新版の「2A7V」と、ウクライナ供与の型落ち「2A6」を見比べる

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