ダイハツ不正「絶対にあってはならない行為」 衝突試験ごまかし トヨタは会長・社長で対応へ

ダイハツが海外向け車種の側面衝突試験で不正があったと発表しました。トヨタブランドで販売される車種もあることから、トヨタも声明を発表しました。親会社であるトヨタはどう出るのでしょうか。

タイ、メキシコ、マレーシア向けなど8万8123台、販売中も含めて4車種で不正

 ダイハツ工業が生産するトヨタブランドの車両で不正があったと、ダイハツとトヨタの両社が2023年4月28日に公表しました。ドアの内部に加工を行って、側面衝突試験の結果を調整し、型式を取得していました。トヨタは「ダイハツ工業の不正は、クルマにとって最も大切な安全性に関わる問題であり、お客様の信頼を裏切る、絶対にあってはならない行為」と豊田章男会長のコメントを発表しました。

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不正対象車で最も数が多い「ヤリス エイティブ」(画像:トヨタ)。

 ダイハツによると、側面衝突試験の認証申請で不正行為が見つかったのは、海外市場向けで販売されている2車種と販売予定の車両1車種、さらに開発中の1車種の計4車種です。

 今年4月に内部通報があり、ダイハツが調査。型式申請に必要な側面衝突試験で、試験車両の前席ドア内張り部品の内部を加工、法規に定められた側面衝突試験の手順や方法に従わなかったことが判明しました。ただ、一方でダイハツは「正規部品を用いた社内再試験において、側面衝突試験で定められた基準を満足していることを確認した」ともしています。

 対象となる車両は、タイとマレーシアでダイハツが生産した「トヨタ・ヤリスエイティブ」で7万6289台。次いで、ダイハツとマレーシア資本で設立されたプロドゥアの「アジア」1万1834台。ほかにも、今年6月にインドネシアで生産開始予定だった「トヨタ・アギア」と、開発中の1車種です。

 トヨタブランドで販売、生産が予定されていた車両は、OEM供給契約・共同開発契約を締結後に、ダイハツが認証のための各種の試験を実施し、トヨタが型式申請をしています。認可後にトヨタブランドで販売されていますが、現在は認可対象国への出荷を停止しています。今後は審査機関や認証当局立ち合いで、側面衝突性能の適合が認められた後に、出荷再開の予定です。

 ダイハツは今後も、内部調査委員会と独立した第三者委員会の2つの委員会で、不正の原因解明を行い、再発防止を取りまとめます。

トヨタは会長と社長のツートップの役割分担で対応

 一方、トヨタ自動車も豊田章男会長のコメントを発表しました。

「ダイハツ工業だけではなく、トヨタ自動車も含めた問題であると考えております。現場で何が起こっているのか、徹底的に事実を把握し、真因を究明し、再発防止に真摯に取り組んでいくことをお約束いたします」

 同社は2009年に北米でフロアマットに起因する大規模リコールを経験したことから、豊田会長はガバナンスやコンプライアンスに関する部分を、佐藤恒治社長がクルマづくりのオペレーション上の問題の改善と、役割分担を明確にして対応し、信頼拡幅に努めるとしました。

【了】

【ヤリスのセダンだと!?】不正対象となった日本未発売モデルたち(画像で見る)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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