南米でいまだ現役 傑作攻撃機A-4「スカイホーク」初飛行-1954.6.22 使っている国は“やむを得ず”?
1954年6月22日、軽量・小型機の攻撃機としてロングセラー機となる、ダグラスが開発したA-4「スカイホーク」が初飛行します。同機は2023年現在でもブラジルとアルゼンチンで使用されていますが、なにやら切実な事情があるようです。
空母がなくなっても使い続けるブラジル海軍
ブラジルで運用しているのは海軍です。ここはクウェート空軍が使用していたA-4を1997(平成9)年に20機購入しました。ブラジル海軍はこの機体をAF-1「ファルカン」と呼び空母「ミナス・ジェライス」で戦闘機と攻撃機を兼ねる形で運用していました。同空母が退役した後、2000(平成12)年からは新たな空母「サンパウロ」に移り、そこでも同様の任務に就きました。
しかし、空母「サンパウロ」に関しては、元々はフランスから購入した中古空母という影響もあったのか、ブラジル海軍所属後は事故が頻発し、数年単位でドック入りしては短期で任務に就くという状況を繰り返したため、満足な活躍もなく2017(平成29)年に退役することに。
AF-1「ファルカン」に関しては、「サンパウロ」退役以前の2009(平成21)年4月に12機がエンブラエルで、近代改修を施すことが決定します。これにより、高度なレーダーシステムや新たな搭載兵装によって大幅な性能向上が施されることになります。なお、この時点で、「サンパウロ」は2039年まで現役を続行する予定だったため、それに合わせ採られた措置でした。
しかし、その予定は覆され、空母「サンパウロ」は前述したように2017(平成29)年に退役しています。これにより、母艦となるべき空母はなくなってしまったものの、近代化改修は続行されました。
実はブラジル海軍は、空軍の反対により、長らく海軍所属の空母艦載機はヘリコプターのみしか認められていませんでした。1998(平成10)年にようやく空軍との政治的闘争に打ち勝ち、固定翼機の導入に成功しますが、その初めての機体がAF-1「ファルカン」だったのです。なお、空母はなくなりましたが、将来的に再導入の可能性もあるので、そう簡単に手放せません。
改修機のうち、単座式がAF-1B、複座式がAF-1Cに、それぞれ型式番号が改められています。AF-1最後の改修終了機は、2022(令和4)年4月22日にブラジル海軍に導入されています。ブラジル海軍は同機をいつまで使うかは明言していませんが、専門家の間では、2030年代中頃までは使用するだろうとみられているようです。ブラジル海軍は空母がないにも関わらず、後継機として「グリペン」やF/A-18「ホーネット」といった戦闘機を考えているようですが、航空隊解体の話も出てくる可能性はあります。
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