潜水艦じゃ周囲よく見えない? ならば「飛べ」 独Uボートが積んだ伝説の珍装置とは『ラピュタ』の元ネタか

第2次世界大戦中のドイツ潜水艦「Uボート」には、人が乗る凧が搭載されていました。一見するとヘリコプターにも見えますが、無動力。それでも飛ぶことができたそうです。どういう目的で生産・搭載されたのでしょうか。

120m上から周囲を見張る「鳥」

 第2次世界大戦中のドイツは、世界屈指の技術先進国でした。しかしレーダーにかんしては連合国に遅れをとっており、連合国が、より小型の物体を正確に捉えられる、波長の小さなセンチメートル波のレーダーを実戦配備していたのに対して、ドイツの主要レーダーは、波長が大きなメートル波でした。しかも、サイズの問題から初期のUボートにはレーダーの搭載は無理でした。

 そこで考えられたのが、「凧」の利用です。もっとも、凧といってもヘリコプターのようなローターを備えており、これに風を受けて浮揚する、いわゆる「ローターカイト」や「ジャイロカイト」と呼ばれるものになります。

 ドイツ海軍は当時、まだ黎明期だったヘリコプターの研究開発を主に行っていたフォッケ・アハゲリス社に、この“Uボート用ローターカイト” の開発を依頼します。ちなみに、同社は、Fw190戦闘機などで知られるフォッケウルフ社の創設者のひとりであるハインリヒ・フォッケと、テストパイロットのゲルト・アハゲリスが共同で創設したものです。

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アメリカで調査されるFa330「バッハシュテルツェ」(サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 ドイツ海軍から開発を頼まれたフォッケ・アハゲリス社は、フレームワークを駆使した組み立て式のローターカイトを開発します。なお、組み立てと分解は、いずれも2名で行われ、どちらの作業もだいたい15~20分かかりました。

 ローターは3枚羽で直径7.32m。機体の空虚重量は68kg。乗員は1名。最低離艦速度は約30km/h。飛翔曳航速度は40km/hで、およそ高度120mのあたりを飛ぶようになっていました。母艦のUボートとは全長150mのケーブルで繋がっており、このケーブルに電話線も敷設されていて、乗員は母艦と双方向で通話できました。

 ここまで高いところから周囲を見渡せたため、飛行中は約45kmの視程があったそうです。Uボートの艦橋からの視程が10kmほどだったことを考えると、確かに有効な「空飛ぶ目」だったといえるでしょう。

 なお、似たような用途の滑空機は、人気映画『天空の城ラピュタ』に出てくる飛行船「タイガーモス号」のグライダーで見ることができます。それをイメージするとわかりやすいでしょう。

【こちらは砲塔!】戦艦とも撃ち合える「巨砲」搭載した潜水艦たち(写真)

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