未使用の特攻機!? 国内で唯一残る幻の軍用機「剣」を実見 使われなくてよかったかも…な突貫設計

旧日本軍は太平洋戦争末期の戦局悪化にともない、多くの飛行機を特攻機として出撃させました。そうした中、突貫設計で生み出されたものの、戦争には使われなかった機体が今も国内の倉庫に眠っています。

世界にたった2機だけ 幻の軍用機

 キ115「剣」は1945(昭和20)年8月の終戦までに105機が生産されますが、日本本土決戦は行われなかったため、本機も未使用で終わりました。しかし実際には、同機の飛行試験では大きすぎる翼面荷重に加えて尾翼面積が過小だったことから飛ぶとすぐに横滑りを起こしたほか、旋回や降下でも不安定な飛行特性であったため、新米のパイロットではまっすぐ飛ばすだけでも至難の業だったそう。そのため、実戦に投入されずに済んだのは幸いだったのかもしれません。

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アメリカのピマ航空宇宙博物館で展示されるもう1機の「剣」。機首が外れ掛かっているが、こちらはハ115エンジンが残ったままである(日本戦跡協会撮影)。

 終戦後、「剣」は2機が戦後も残され、1機は調査のためにアメリカに渡っています。この機体は現在、アリゾナ州ツーソンにあるピマ航空宇宙博物館で展示されています。もう1機は1953(昭和28)年までアメリカ軍が駐留する横田基地のロータリーに置かれていましたが、その後は東京や名古屋、大阪などで展示された後に東京都立航空高等学校にて分解された状態でしばらく保管されていました。ただ以後も、イベント展示などでも貸し出されていたようで、筆者も50年前の小学生時代に、読売新聞社主催で大阪・心斎橋の大丸百貨店で開催された戦争展において、同機を直接見た記憶があります。

 こうして数奇な運命を辿った国内のキ115 「剣」ですが、現在は前述の茨城県つくば市にある国立科学博物館の資料棟に、エンジンを外し機体も分解された状態で知る人ぞ知るといった感じで、ひっそりと保管されています。

 この施設は年に一度、オープンラボの際は一般公開される場合があるので、機会があればこの機体を見学することで戦争末期の日本の状況や、追い詰められていた航空機産業について思いを巡らしてみてはいかがでしょうか。

【了】

【これが茨城に眠る激レア機です】未組立で保存されている「剣」&組み立てた状態も(写真)

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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