日英伊の次期戦闘機に「サウジアラビア」参画? 英伊は歓迎 日本は反対 何をためらっている?
サウジ参画ならば多額の資金 受け入れれば反発?
サウジアラビアはイスラム教シーア派などへの武力を行使しており、現状の防衛装備移転三原則では、防衛装備品の輸出ができない「紛争当事国」ともみなされます。
単純に防衛装備品を輸出することさえ困難なサウジアラビアをGCAP計画に迎え入れることになれば、国内世論などから反発を受けることは必至です。日本はその反発によって開発計画に遅れが生じることを懸念して、サウジアラビアのGCAP計画への参画に反対しているとも言われています。
他方フィナンシャルタイムズは、サウジアラビアがGCAP計画に参画することになれば、同国から多額の開発資金が投入されると報じています。
現在の日本はF-2戦闘機を開発した1980~90年代に比べれば経済状況が悪く、国内で新戦闘機を単独開発するだけの財政的な余裕がないことも、日本がGCAP計画に参画した大きな理由の一つです。
F-2の退役開始が予想される2035年までに次期戦闘機、すなわちGCAP計画で開発される新しい有人戦闘機を航空自衛隊に就役させることはもちろん大切ですが、経済状況の悪化や財政難という、日本がGCAP計画に参画することになった理由を棚に上げ、開発資金を得る上で大きな助けとなりうるサウジアラビアの参画を拒絶し続けるのは得策ではないと筆者は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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