なぜ!? 常磐線からの上野東京ラインだけ「品川止まり」 直通したら便利そうもできないワケ

二転三転した常磐線直通

 上野東京ラインの建設計画は、国鉄の分割・民営化前からありましたが、JR東日本となってからは、まずは1993(平成5)年に上野~秋葉原間を先行開業し、常磐線の電車を秋葉原駅まで延長運転する計画でした。宇都宮線や高崎線でなく常磐線が選ばれた理由は、将来、常磐新線(現・つくばエクスプレス)が開業し、上野止まりの常磐線から旅客が常磐新線に流れるのを防ぐ意図がありました。

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常磐線からは特急「ひたち」「ときわ」も乗り入れるが、やはり品川駅までの運転(児山 計撮影)。

 しかし後に、秋葉原駅の建設中止と東京駅まで一気に開業することに計画が変わり、乗り入れを行う系統も宇都宮線と高崎線へ変更。運転本数や上野駅のポイントの都合などから、常磐線は従来通り上野止まりとすることになったのです。

 ただ2001(平成13)年に湘南新宿ラインが開業し、宇都宮線と高崎線の一部が上野駅を経由しなくなると、同駅を発着する電車が減少し、線路に余裕が生まれました。その余裕を常磐線の直通に充当したのが現在の運行形態です。

 前述の車両の都合などにより、今後も常磐線の電車は品川止まりのまま推移すると思われますが、臨時列車では品川以遠と常磐線を結ぶ列車が、これまでに何度も運行されています。記憶に新しいところでは、2023年8月に開催された「伊東按針祭花火大会」の際、E531系ではないものの、常磐線の特急車両が初めて伊東駅まで乗り入れました。

 意外な列車が意外な運転系統で運行される可能性は、今後もゼロではないでしょう。

【了】

【!?】なぜ「関西の新快速」が品川駅に?

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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