「成田まで20分」目指す京成 「世界最速」から66年の小田急 スカイライナーとロマンスカー“中の人”対談 速さに必要なものとは

なぜ小田急は110km/hで京成は160km/h?

 続いて小田急電鉄の鈴木氏。「1950年代に小田急が速度を追求したのは、太平洋戦争後10年も経たない頃に、画期的な高速車両を作るという話です。当時は新幹線もありません。当時の国鉄では難しかった高速車両ですが、小回りが利く小田急では実現しやすかったのです。弊社の社風も今に至るまで『何か面白いことをやってやろう』ですから、合っていたのでしょう。3000形『SE』は、国鉄、研究所、メーカーの協力を得ながら、速度向上を目指したわけです」

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小田急電鉄 運転車両部 車両担当課長代理の鈴木剛志氏(左)と、京成電鉄 鉄道本部車両部 計画課長の廣瀬昌己氏(安藤昌季撮影)。

 京成電鉄の廣瀬氏が続けて語ります。「都心から空港を30分台で結ぶためには、160km/h運転が必要ですが、それまでは110km/hでした。北越急行さんには、在来線特急で160km/h運転を行う特急『はくたか』が走っており、参考にさせて頂きました」

 小田急電鉄の鈴木氏もこう続けます。「『SE』が現役の頃は110km/hが最高でした。車両性能としては、1957年の高速試験時に145km/hを出しています。速度を上げると振動が増えますが、その振動周期と、加速の周期が一致すると、ブランコを力を入れて漕いだように大きく反動が付く。実験を繰り返して、高速域でどうなるのか確認しました」

 高橋館長が「京成は160km/h、小田急は110km/h、なぜ差があるのですか」と質問します。京成電鉄の廣瀬氏は「速度を出すこと自体は容易なのですが、難しいのはブレーキ。600m以内で止まれることが求められます。160km/hでは600mで止まれませんので、踏切がないことは大切になってきます。成田スカイアクセス線には踏切はないので、速度が出しやすくなっています」と語ります。

 続いて小田急電鉄の鈴木氏は「曲線通過速度や、下り勾配で速度が上がり過ぎないようにするのが難しいです。沿線に対するものも含めて、騒音・振動を抑える必要があります」と語りました。

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