よくぞ残った「戦車改造ブルドーザー」お披露目! 80年前の戦車、改造を重ねた数奇な歴史

戦後史の貴重な生き証人 戦車には戻さず整備へ

 そして、御殿場市に運ばれてきた今の改造ブルドーザー状態が、「民生機第3形態」と言えるものです。

 牽引車として使われなくなった「第2形態」の車両を、1975年頃に前のオーナーが入手し、それにコマツの民生ブルドーザーの部品を組み込んで作り上げたことで、今の状態になったのだそう。

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改造ブルドーザーを正面から見たところ。正面の排土板は民間ブルドーザーから移植したもの(布留川 司撮影)。

 ブルドーザーから移植された排土板を車体前面に装備していますが、それを動かすアームと油圧動作機構は車体内部に設置できないため、油圧ラインは車体外部の周囲に巻き付くように設置されています。アームは車体正面中央、作動油のタンクは左後部、循環させるポンプは車体後部のクランクシャフトの末端に設置されており、それを繋ぐ形で作動油のホースが走っています。ものすごくDIY感を感じる造りですが、ブルドーザーとしてはしっかり機能します。

 最初の「更生戦車」でのブルドーザー化、すなわち「民生機第1形態」では、排土板の操作は機構がシンプルなワイヤー式であり、それが使い勝手の悪さの要因にもつながってしまったようです。しかし、「第3形態」のブルドーザーは使いやすく、だからこそこの車両もつい最近まで前オーナーの元で除雪や整地作業で使われ続けたのでしょう。

 現在取り付けられている運転席も、もともとは車体上部が取り払われオープントップ仕様になったのを、前オーナーが雪国でも快適に使えるようにと増設したもので、そこにはワイパーと曇止めのデフロスターも設置されていました(現在は落下防止の為に前部窓ガラスは外してある状態)。

【シフトノブが2本!?】オリジナル変速機が残ったままの運転席回り(写真)

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