よくぞ残った「戦車改造ブルドーザー」お披露目! 80年前の戦車、改造を重ねた数奇な歴史

ひと足先に手に入れた九五式軽戦車と並べられれば…

 この「戦車改造ブルドーザー」は、近い将来、NPO法人が御殿場市内で建設を計画している「防衛技術博物館(仮称)」において展示される予定ですが、その前に車両自体の修復作業も行うそうです。

 それについて小林代表理事は「この車両は民生利用された戦車からさらに手が加えられており、あえて呼ぶなら『更生戦車改造ブルドーザー』といった感じでしょうか。一般的に知られている『更生戦車』とは違いますが、ここまでに至る歴史と現在の状態にも非常に重要な価値があると考えています。ですから、修復するにあたっては今の昭和50年代ブルドーザーとして改造された状態を目標とし、塗装や整備などを進めたいと思っています」と語っていました。

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昭和50年代に前オーナーが改造して増設した運転席。フロントガラスも現存しているが、輸送時の落下防止のために現在は外している(布留川 司撮影)。

 小林代表理事によれば、「更生戦車」となって今も現存する車両は恐らくこの1台のみとのこと。同NPO法人では昨年(2022年)末に稼働する九五式軽戦車をイギリスから里帰りさせましたが、この九五式軽戦車ベースの改造ブルドーザーも大切に扱い、最終的には同じ建物内で展示できるようにする模様です。

 戦後の日本の産業史を知る上で重要な車両である「更生戦車」の生き残り、末永く大事にされることを期待しましょう。

【了】

【シフトノブが2本!?】オリジナル変速機が残ったままの運転席回り(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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