「死の鉄道」今や観光地に 旧日本軍が作った泰緬鉄道80年 壮絶な犠牲で生まれたローカル線

2023年10月、泰緬鉄道が開通して80年を迎えました。現在のタイからミャンマーにかけ、旧日本軍が陸上補給路して敷設した路線です。多大な犠牲を払い開通した鉄道は今、両国で異なる顔を見せています。

戦後、タイ側は「ナムトック支線」として再起

 泰緬鉄道は戦後、国境を境にしてミャンマー側の線路が遺棄されました。しかし、廃線跡はモン族やカレン族など少数民族支配地域ゆえに軍との武力衝突が絶えず、外国人の立ち入りが厳しいうえ、2021年にはクーデターによる弾圧で、ミャンマーへの不要不急の渡航中止が継続されています。

 一方のタイ側の約130kmは、軍用から沿線の生活と開拓の地域輸送へ、タイ国鉄南本線のナムトック支線として再出発しました。終点はナムトック駅となりましたが、サイヨークノイ滝付近まで線路は残され、その先は廃線です。2023年現在でも、バンコク・トンブリ~ノンプラドック~ナムトック間は3往復の普通列車が走っています。

Large 20231102 01
慰霊碑の碑文。碑文は日本語のほか、英語、タイ語、中国語、マラヤ語、ベトナム語、タミル語で書かれ、建設に関わった民族の多さを物語る(2023年2月、吉永陽一撮影)。

 報道や捕虜の手記、映画によって泰緬鉄道を知った欧米人は「Death Railway=死の鉄道」と呼び、ナムトック線も「Death Railway」として、タイ政府が沿線の観光化を推進。欧米人をはじめ多くの観光客が訪れ、泰緬鉄道そのものがタイの有名観光地となっています。

 私(吉永陽一:写真作家)は祖父がインパール作戦とビルマ戦線の生還者であったため、幼少期から凄惨な戦場の話を聞いて育ちました。泰緬鉄道の存在にも興味を持ち、初訪問は2011(平成23)年。戦史取材というよりも、鉄道ファンの自分の目で、泰緬鉄道のいまの日常に触れて記録しようと何度か訪れ、最近では2023年2月にも訪れています。

【え…!】泰緬鉄道を走る東急製の車両

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  4. 品川と青森を結ぶ「新たな夜行特急」が2027年度から運行へ 所要時間は12時間超え フルフラット仕様の個室も
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  2. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス
  3. ロシア海軍のステルス艦が「大炎上」 ウクライナの攻撃で撃破される瞬間を捉えた映像が公開
  4. 「春日部」から独立「県内8番目のナンバープレート」実現なるか? 新「ご当地ナンバー」導入へ早くも動き これから各地で?
  5. 空母化進む「最大の護衛艦」がフェリーと並んだ! 大きさの違いが際立つショットを海自が公開