そっち向きに飛ぶの!? 異形の旧海軍機「震電」 ぶっとんだ設計のワケ

新作映画『ゴジラ-1.0』に、ゴジラに対峙する兵器として、旧日本海軍の局地戦闘機「震電」が登場します。ただ史実では、「震電」は敵重爆撃機への迎撃機として生産されました。地上にいるゴジラに、果たしてどこまで有効でしょうか。

「震電」に求められた性能とは

「震電」の計画要求書には、目的として「敵重爆撃機ノ撃墜ヲ主トスル優秀ナル高速陸上戦闘機ヲ得ルニアリ」とあります。海軍がこの異形に目を付けたのは、高空を高速で飛び、硬いB-29を迎撃することの一点でした。さらに要求書は高度8000mまで10分30秒以内、実用上昇限度1万2000m以上、高度8700mで最高速度400ノット(740.8km/h)以上30分維持を求めており、かなり野心的です。

 B-29を落とすには強力な武装が必要であり、前部にエンジンやプロペラを配さなくてよい前翼機は最適でした。「震電」はここに五式30mm固定機銃一型乙を4門装備することが計画されました。

 五式30mm機銃は強力ですが、発射反動も大きく重さが1門でも70kgあり、かつて戦闘機部隊からは対戦闘機戦には使えないと反対された武装です。通常の牽引式であれば主翼に配置するか、機首に集めるなら双発機とせざるを得ず大型化し、期待される高速陸上戦闘機にはなりそうにありません。

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製作研究用に作られた前翼型グライダーMXY-6(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 そこで思い切った発想の転換、改革が必要でした。重武装を単発の小型機に収めることができる前翼機形式の採用もイノベーションですし、海軍戦闘機の伝統芸「巴戦法」という格闘戦能力をキッパリ排したのもイノベーションです。「震電」は高速で早く高空に達し、大火力で射撃しつつ退避を図る一撃離脱戦法を旨としました。海軍航空本部実験部長の見解で、「この飛行機の利点は高速度によって反復攻撃ができることにあり、旋回に重きを置きすぎるとその特徴が失われる恐れがある」と、その方向性を示しています。

【写真】いま、日本で見られる「震電」

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