新幹線“最古参”500系まだ安泰? 封じられた「時速300キロ」 想定では320キロ!?

320km/h運転も念頭に置かれていた

 W2編成以降は、過剰性能ということで1万7600kWに下げられましたが、それでも1両1100kW。後発で、同じ300km/h運転を行うN700系新幹線は1万7080kWなので、新幹線として最大の編成出力を有しているともいえます。ちなみに1両平均で最も出力が高いのは、8両編成の九州新幹線用N700系で、全電動車のため1両あたり1220kWです。

 500系にこれほどの性能を持たせた理由は、320km/hでの営業運転も念頭に置いていたからです。これは性能上可能でしたが、阪神・淡路大震災を受けて非常制動距離の順守が求められたことや、費用対効果を考えて、300km/h運転に留められました。

 500系は1997年、新大阪~博多間の「のぞみ」に投入されます。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は営業開始直後に乗りに行きましたが、300km/h運転時は車体を叩く風の音が大きいことに驚きました。

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元・グリーン車の普通車指定席(安藤昌季撮影)。

 そして翌1998(平成10)年、東京~博多間の「のぞみ」にも投入されます。所要時間は初めて5時間を切り、4時間49分でした。ちなみに、現行の東京~博多間最速「のぞみ64号」は、品川、新神戸と2駅停車が増えて4時間46分ですが、これはN700系の加速に適した歯車比と、デジタルATCによる効率的な加速制御によるものです。

 なお停車駅が少ないとはいえ、500系による新大阪~博多駅間2時間17分は、現在でも破られていない記録です。

 高性能を誇る500系でしたが、様々な問題点もありました。まず高価なことです。1編成あたり300系より6億円も高く、9編成が製造されただけで増備は打ち切られました。

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