北関東に「震電」あるって!?『ゴジラ-1.0』で使われた幻の戦闘機 機体のある福岡とは別の“聖地”とは
幻の局地戦闘機「震電」とは?
そもそも、この『ゴジラ-1.0』に登場した戦闘機「震電」とはどんな機体なのでしょうか。
旧日本海軍において「十八試局地戦闘機」とも呼ばれた「震電」は、戦局を挽回する画期的な高速戦闘機として1943(昭和18)年頃から海軍航空技術廠により基礎研究や開発が始まりました。そして試作機の設計や製造は、三菱重工や中島飛行機のような大手の航空機メーカーではなく福岡県にあった九州飛行機が担当します。
試作機は、過給器付きの空冷星形18気筒エンジン「ハ43-42」(2130馬力)を搭載して太平洋戦争末期に完成しました。
計画では、高度1万m以上を飛んで日本に襲来するアメリカ軍の大型爆撃機B-29を迎撃可能な最新の高高度戦闘機として生まれる予定でした。しかし実際は、度重なる工場空襲や疎開などで開発は遅延、終戦直前の1945(昭和20)年8月3日に初飛行を終えたまま実戦には投入されずに終わっています。
なお、「震電」は機体後部でプロペラが回っているため、緊急脱出時にパイロットが巻き込まれる危険があることから、試作2号機以降はプロペラハブ内に火薬爆破式のプロペラ飛散装置を組み込む予定でした。
一方、『ゴジラ-1.0』に登場した機体にはドイツ製の圧縮空気式射出座席が設けられています。この装置は第2次世界大戦末期のドイツで世界に先駆けて実用化され、He162ジェット戦闘機などに搭載されて多くのパイロットの命を救った装置です。
これは、あくまでも筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)の想像ですが、戦時中にドイツの潜水艦「Uボート」で日本まで運ばれた射出座席のサンプルが使われた、という設定なのかもしれません。
コメント