北関東に「震電」あるって!?『ゴジラ-1.0』で使われた幻の戦闘機 機体のある福岡とは別の“聖地”とは

茨城の「震電」にもあのレバーが!

「震電」のコクピットを再現した撮影用セットが展示されているのは、前述したように茨城県美浦村の鹿島海軍航空隊跡になります。

 ここは、国内最大級の戦争遺構といえる場所で、そのなかの本庁舎2階で見ることができます。なお、こちらは大刀洗平和記念館とは異なり、間近まで近寄ることが可能です。

 コクピットは、展示では機体と一体になっていますが、元々は撮影のため前後に分割できる構造で、計器盤の左下には爆弾の安全装置を解除するための赤いレバーが、座席右側には射出座席の発射レバーがそれぞれ見えます。ただし、大刀洗の展示機とは微妙な相違点があり、座席上部の形状が異なっているほか、劇中では印象的にスクリーンに映し出される、赤字のドイツ語で記された注意書きが入ったヘッドレスト下の白いプレートもありません。

 それでも、「震電」の格納庫や出撃シーンは、この航空隊跡の戦前から残る自動車車庫で撮影されており、ここも立派な映画の “聖地” には違いないと言えるでしょう。

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大刀洗平和記念館で展示される、旧日本海軍の十八試局地戦闘機「震電」の撮影用プロップ。映画と同様に上の30mm機関砲2門は外されている(吉川和篤撮影)。

この霞ヶ浦の南側湖畔には、旧日本海軍の水上機実習訓練施設が1938(昭和13)年5月に発足しており、ここで練習生らに対して水上機の操縦訓練を行っていました。加えて太平洋戦争の末期には、特攻隊員の養成も行われています。

こういった場所のため、本庁舎や気缶場(ボイラー室)、発電所、自動車車庫などの建物や遺構が現在も数多く残されており、実際に訪ねてみると時が止まったかのような不思議な印象を受けます。

 映画『ゴジラ-1.0』は、2024年1月から白黒フィルム上映の『ゴジラ-1.0/C』(マイナスワン/マイナスカラー)も始まり、ますますの盛り上がりを見せています。この機会に、“聖地巡礼” を兼ねて、鹿島の地で映画に用いられたもうひとつの「震電」を見学するのも良いのではないでしょうか。

【了】

【思わず座りたくなる?】これが東京近郊で見られる戦闘機「震電」の一部です(写真)

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