「スーパー」特急、久々の新登場! 実は明確だった、列車名に「スーパー」つける意味
国鉄型車両が淘汰されると…
古くなった鉄道車両は基本的に、1年~数年をかけて置き換えられていきます。そのため過渡期なら新型車両に「スーパー」をつけてアピールする戦略は有効ですが、新型車両に統一されればその役割は薄れます。
一例をあげると、JR北海道の「スーパー北斗」と「北斗」は停車駅に大きな差はなく、キハ281系気動車を使用した車両を「スーパー北斗」、従来の国鉄型キハ183系気動車を使用した「北斗」と区別していました。そのためキハ183系の置き換えが完了して全車キハ281系になると、「スーパー」の意味はなくなってしまいました。
JR北海道は2020年、「スーパー北斗」「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」などから「スーパー」を外しました。
また別の例としては、「スーパー」をつけると列車名が長くなって覚えにくいという弊害も生まれました。たとえばJR西日本では、「雷鳥」の上位速達列車として「スーパー雷鳥」が登場したあとに、設備をグレードアップした新型の681系電車「サンダーバード」が投入された結果、最速達列車は「スーパーサンダーバード」と長い名前になってしまったため、後に「サンダーバード」と改称されました。
JR各社では国鉄型車両の淘汰が進むと、列車名から「スーパー」が徐々に外れていくことになりました。速達型と主要駅停車型の2種類の特急が設定されている路線でも、常磐線の「ひたち」「ときわ」、中央本線の「あずさ」「かいじ」のように異なる列車名をつけるのが現代の主流となっています。
そのような流れがあったからこそ、今度のダイヤ改正で「スーパーつがる」という名称が誕生したことに鉄道ファンは驚きを隠せませんでした。かつては昼行、夜行含めて数多くの特急列車が設定されていた奥羽本線の秋田~青森間も、現在は3往復の特急が走るのみとなってしまいましたが、そのような中で「スーパーつがる」が、文字通りスーパーな活躍をしてくれることを期待したいところです。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
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