「後ろ向きの主砲どうやって使う?」対戦車自走砲「アーチャー」前後あべこべがむしろイイ!その理由
第2次大戦でドイツの強力な戦車に対抗しようと、イギリスが生み出した対戦車自走砲「アーチャー」は、コンパクトな車体に長砲身の強力な砲を組み合わせるため、砲塔を前後逆にしちゃったとか。でも、その方が使い勝手よかったそうです。
一見すると使い勝手悪そうだけど…
第2次世界大戦後期、イギリス軍は大砲を後ろ向きに搭載した対戦車自走砲「アーチャー」を開発し、戦力化しました。普通なら戦車に限らず、自走砲も、あるいは機関銃搭載の装甲車だって大砲や機関銃などの主武装は、進行方向、すなわち操縦手が顔を向けている方向に設置します。
しかし、「アーチャー」は操縦手の背中側、真後ろに大砲が向いている構造でした。イギリスはなぜ、一見すると使い勝手の悪そうなこの戦闘車両を生み出したのでしょうか。
「アーチャー」誕生の背景を探るには、その主武装である17ポンド砲がどういった経緯で生まれたのか、そこに触れる必要があります。
第2次世界大戦が勃発したとき、イギリス軍の主力戦車砲および対戦車砲は2ポンド砲(40mm砲)でした。同砲は、開戦当初こそ必要十分な性能を有していたものの、敵であるドイツが次々と高性能な新型戦車を前線に投入するようになると、あっという間に威力不足となり、より強力な後継砲が必要になりました。
もちろんイギリス軍もその辺りはわきまえており、後継砲として、新型6ポンド砲(57mm砲)を完成させ、順調に行けば2ポンド砲と逐次更新されるはずでした。
ところがフランス本土で戦っていたイギリス海外遠征軍が同国から撤退する際、大量の兵器を遺棄してきた結果、イギリス本国では兵器不足が起きました。そこで、手間と時間がかかる新型6ポンド砲の生産を新たに立ち上げるのではなく、すでに量産体制が整っていた2ポンド砲を大量生産することにしたのです。
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