「後ろ向きの主砲どうやって使う?」対戦車自走砲「アーチャー」前後あべこべがむしろイイ!その理由
小さな車体に巨大な砲どうやって積もう?
ただ、前述したように2ポンド砲はすでに威力不足が露見しており、新型の6ポンド砲ですら近々威力不足になりかねない趨勢でした。そこで、イギリス陸軍は6ポンド砲に続くより強力な17ポンド砲(76.2mm砲)を開発し、1943年前半に実戦投入します。
同砲は、砲架などに「間に合わせ」の部分が見られたものの、目論見通りの高性能を発揮しました。ただ、問題は車載砲でした。当時、イギリス軍が運用していた国産戦車で、大柄な17ポンド砲を砲塔に装備できるものはなかったのです。
そこでイギリス軍は当座しのぎとして、アメリカ製のM4「シャーマン」中戦車やM10「ウルヴァリン」駆逐戦車の主砲を17ポンド砲に換装したタイプを生み出し、それぞれ「シャーマン・ファイアフライ」並びに「アキリーズ」として採用します。
一方で、17ポンド砲を搭載する国産戦車と対戦車自走砲の開発にも着手します。こうして誕生したのが、「チャレンジャー」巡航戦車と「アーチャー」対戦車自走砲でした。
「アーチャー」対戦車自走砲のベースになったのは、イギリスが第2次世界大戦開戦初頭の1940年から量産していた「バレンタイン」歩兵戦車です。同車は、当初2ポンド砲を搭載し、その後6ポンド砲、さらに75mm砲と、改良が加えられるごとに主砲も強力なものにバージョンアップされましたが、さすがに17ポンド砲は車体サイズに比して大きすぎ、砲塔に搭載することは不可能でした。
しかし一方で、長期間にわたって生産されてきた「バレンタイン」のシャーシは、機械的な信頼性に優れていました。そこでイギリスの開発陣は、ドイツ軍が多用していた対戦車自走砲を真似ることにします。しかも、「車体サイズが小さく17ポンド砲を前向きに搭載できないのなら後ろ向きにすればいいじゃない」と、いうなれば「コロンブスの卵」的な発想で、完成させてしまいました。
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