ロシア連続で「航空戦の要」喪失、実はヤバイのは“日本”? 突きつけられた現実 すぐそこにある脅威
日本はロシア以上に対AWACSミサイル対策が必須
ロシアに次いで中国も対AWACSには意欲的です。中国の戦闘機の標準的な空対空ミサイルPL-15は射程200kmと言われており、前出のAIM-120「アムラーム」を上回っていると推測されます。また、ほかにもKS-172に比肩するサイズの対AWACSミサイルがSu-27の派生型である中国製J-16戦闘機に搭載され、試験が行われている様子が目撃されています。
なぜ、ここまで中露は対AWACS兵器を積極的に開発しているのか。その答えは、日米欧などの西側諸国の空軍が、よりAWACSを重用する作戦運用を行っていることが理由だと考えられています。なお今回、実際にAWACSが撃墜された事例が生じたことで、今後「AWACSキル」に一層大きく力が入れられる可能性は多分にあると言えるでしょう。
そのようななか、実は日本こそ、ロシアを上回るAWACS大国であるということを忘れてはいけません。航空自衛隊は2024年2月現在、大型のE-767早期警戒管制機を 4機、小型のE-2早期警戒管制機を13機保有しています。ウクライナ侵攻前のロシアがA-50早期警戒管制機を9機保有していたのと比べると、トータルの機数ではほぼ倍です。
2024年に入って、ロシアがAWACS連続撃墜を被ったという衝撃的な事実は、これらを防護するための問題の解決が今後、確実に必要になるということを意味しています。そのため、ある意味で今回の出来事は、ロシア空軍よりも航空自衛隊の方が大きな影響を受ける可能性が高いと言えるのかもしれません。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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