高さ&速さで世界記録だが… F-104「スターファイター」の毀誉褒貶 墜落しまくった国/理想的だった日本

2つの世界記録を達成した優秀機

 F-104は、ジョンソンが意図したとおり速度性能、上昇力ともに優れた性能を発揮します。その高性能ぶりを体現したのが、前量産型に相当するYF-104Aが1958年5月7日に樹立した高度2万7811mへの到達と、同月16日に達成した速度2259.5km/hという2つの世界記録(当時)でしょう。

 なお、この記録によってF-104は実用機として初めてマッハ2の速度を維持することが可能な航空機となりました。

 ただ、飛行性能こそ優れていたものの、航続距離が短いことや搭載兵器の数量が限られていたことが理由となり、アメリカ空軍における運用は限定的かつ短期間で終了してしまいます。

 しかし、要求仕様が異なるカナダやヨーロッパ諸国、そして日本では手ごろな高性能戦闘機として導入され、最終的には15か国で運用されました。また、アメリカ以外の6か国でライセンス生産が行われた結果、総生産数は各型合計で2578機を記録しています。

 日本は、航空自衛隊の主力戦闘機として導入を決定。爆撃コンピューターを外した要撃専用型としてF-104Jが開発されると、その複座型F-104DJとともに合計210機を調達しました。

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1986年8月16日、旧モフェットフィールド海軍航空基地で撮影したドイツ海軍のF-104G戦闘機(細谷泰正撮影)。

 一方、ドイツ、ベルギー、オランダ、ノルウェーなどのNATO(北大西洋条約機構)諸国が採用したF-104Gや、カナダ仕様のCF-104は、核攻撃を主任務とした戦闘攻撃機型でした。米ソが激しくにらみ合っていた東西冷戦下のヨーロッパでは、敵レーダーと対空砲火を避けるために低空を高速で飛行し戦術核による攻撃を行うことがF-104Gに課せられた任務であり、アメリカ軍が管理する核兵器が前出のF-104Gに搭載されました。

 なお、NATO諸国が運用していたF-104Gは、爆撃コンピューターとともに地上の航法無線局などに依存することなく正確な航法を全天候下で行えるよう、慣性航法装置が搭載されていました。

 東西冷戦の最中、ヨーロッパ域内で最も多くのF-104を運用していたのが西ドイツです。同国は海軍と空軍の双方にF-104が配備され、さらに派生型の偵察機型もあったため、それら合計で916機を装備していました。

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