なぜ「ブルーインパルス」は能登の被災地へ行くのか 実は “ついで” だった!?「曲技飛行は前から決定済み」という事実
曲技飛行専門の部隊がない国も
一方、被災地における活動や復興に必要な予算は「令和5(2023)年度補正予算」や、これから国会で成立することになる来年度の「令和6(2024)年度一般会計予算」の歳出に含まれることになります。ですので、こちらもブルーインパルスが飛行したからといって、増やされたり減らされたり、ということは考えられません。
昨今はすっかり国民的人気を有すようになったブルーインパルスですが、陸海空自衛隊の「音楽隊」などと同様に、自衛隊と国民の接点となる広報活動やリクルート、式典を主任務とする航空部隊です。
そのため、災害派遣はもちろん防衛出動等においても直接的な活動を行う能力を有しません。よって自衛隊の任務において必須と言える存在ではなく、その存在意義については厳しい意見も尊重されるべきではあります。
極めて少数派ではありますがドイツ空軍のように曲技飛行隊を持たない国も存在します。しかしながら、それは能登半島地震とは一切関係のないこと。もしブルーインパルスが必要ないというのであれば、自衛隊の広報活動やリクルート活動などと合わせ、根本から問題提起し、見直す必要があると言えるでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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