鉄道はなぜ「激混みOK?」 定員あってもほぼ無制限 いつから1人1席扱いしなくなったのか
定員を自由に決められた自動車
このサービス定員なる概念は、鉄道以外ではほとんど聞きませんが、鉄道は最初から保安定員とは異なる基準を設けていたのでしょうか。保安定員、サービス定員という考え方はいつ生まれたのでしょうか。まず保安定員のある身近な乗りものとして自動車を見ていきましょう。
大正期から終戦直後まで存在した「自動車取締令」は、自動車を所有する者は自動車を地方長官(現在の知事)に届け出て、車両の検査を受ける必要があると定めており、「乗車定員」は検査時に申告すべき事項として挙げられています。
当時の自動車の多くは少数生産であり、シャーシを購入し、ボディをオーダーメイドすることも珍しくなかったため、定員を決める客観的な基準がありませんでした。そのためブレーキや車体強度などの安全基準を満たす限り、定員を自由に決めてよかったのです。
メーカーが車種ごとの型式指定を受けることで、同一形式の車両全てが保安基準などに適合しているとみなす現在の制度は、1951(昭和26)年制定の「道路運送車両法」で定められました。保安基準は乗車定員・最大積載量について、「安全な運行を確保できる範囲内において乗車し又は積載することができる人員又は物品のうち最大のものとする」としています。
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