「九州初の電車でした」半世紀前に消えた私鉄の“唯一の生き残り”ついに公開へ 廃止は「県の要請」だった

あくまで最終状態に修復

「506号車」が道の駅「たのうらら」で保存・展示されるに至った経緯について、担当者は次のように話しています。

「道の駅の構想当初から、当地ならではの目玉になるものが欲しいという要望はありました。そういったなか、大分交通もオブザーバーとして企画会議に参加していたほか、地元住民からの意見もあって、『506号車』の移転・展示が計画されました」

 こうして、路面電車の展示が具体的に検討されるようになったものの、「506号車」は佐野植物公園の一角で長年に渡り野外展示されていた影響で、車内外の傷みが酷かったといいます。そこで、田ノ浦へと移送されたのち、建物の建設と並行して約1年をかけて修復されたのだそうです。

Large 240619 betdudaisen 03

拡大画像

道の駅「たのうらら」の施設内に保存・展示される元大分交通別大線の「506号車」(伊藤洋平撮影)。

 ちなみに、担当者いわく「これは修復作業であり、運行当時の姿を再現する “復元” ではない」とのことでした。塗装ラインなどといった細部デザインは当時と異なる部分もあるそう。ただ、なぜ変わったのか、その経緯は不明だとか。
 
 廃線後、大分市へ譲渡され、若草公園、そして佐野植物公園への移設・展示を経ている間に変わった可能性があるものの、そこは不明とのこと。よって担当者も「これは最終デザインの修復です」と言っていました。

 とはいえ、これまで長年にわたって屋外で風雨に曝されてきた貴重な車両が、ようやくきれいな形で屋内保存されるようになったことは喜ばしいと言えるでしょう。

 地元の歴史の生き証人を携えた大分県下26番目の道の駅「たのうらら」、オープンは間もなくです。

【了】

【現役時代の激レア写真も】「506号車」の今昔&車内外をイッキ見(写真)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。