【空から撮った鉄道】どこから地上に出てくるの!? 大都会の地下鉄車両基地 その形はまるで「巨大なホウキ」【前編】

東京メトロは都心部を中心に9つの地下鉄路線を持ち、それらは縦横に延びています。しかし車両基地は必ずしも自社線内にあるわけでなく、飛び地のように他社線内に設けられている場合も。前後編に分け、車両基地の空撮を紹介します。

この記事の目次

・雑居ビルなどに囲まれた珍しい光景
・まるでホウキのよう 街なかに基地がドン!
・開業当初の姿を彷彿とさせる?
・ようやく「車両基地らしい」車両基地に出会う
・他社線内に基地を構える初の事例

【画像枚数】全21点

雑居ビルなどに囲まれた珍しい光景

 東京メトロは、銀座線、丸ノ内線、日比谷線、東西線、千代田線、有楽町線、半蔵門線、南北線、副都心線の計9路線を有し、総営業距離は195kmに及びます。さらに都心部を中心に、埼玉県や千葉県にも路線を延ばし、大手私鉄やJRとも相互乗り入れを行います。2004(平成16)年4月に帝都高速度交通営団が民営化され、正式名称「東京地下鉄株式会社」が発足してから20年が経ちました。

 9路線のうち南北線のみは地下に王子検車区がありますが、その他の路線は地上に車両基地や工場があります。私は長年空撮してきたなかで、東京メトロの車両基地の上空を通過し、何度も同じ場所を飛行することもあれば、一度のみだったり遠方から望むだけだったりと様々ですが、南北線を除く地上の車両基地は撮影してきました。そこで前後編に分け、前編として「銀座線、丸ノ内線、日比谷線」の3路線を紹介します。

Large metro 01

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夜の上野検車区。1927年に開所。日本初の地下鉄車両基地である。検車区の周囲は企業や住居のビルが建ち並んでおり敷地は狭小だ。地下にも留置線がある。右端は昭和通り(2020年1月24日、吉永陽一撮影)。

 銀座線は東京メトロの礎となった路線で、1927(昭和2)年に浅草~上野間が東京地下鉄道として開業し、アジア初の地下鉄となりました。開業に合わせて地上に設けられたのが上野電車庫で、97年間ものあいだ銀座線の車両を受け持ってきました。東京地下鉄道は1944(昭和19)年から帝都高速度交通営団(営団地下鉄)となり、上野電車庫は戦後、上野検車区へと改称しました。

 やがて銀座線の車両数が増備されて手狭となると、車両工場設備は廃止されて、地下にも留置線を増備する大掛かりな工事を実施。地上7本、地下13本の列車を収容できるようになりました。上野検車区で実施していた全般検査は、留置線増備のために丸ノ内線の中野車両基地へ移転し、両路線が接続する赤坂見附駅には渡り線が設けられています。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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