爆撃機の「お尻にエンジンもう1発!」予算争いの対抗策で生まれた“ハイブリッド爆撃機”とは?「これなら核積める」

「片道出撃」しかできなかった先代機

 当初、アメリカ海軍が行ったのは、P-2「ネプチューン」対潜哨戒機を改造し、原子爆弾を搭載可能な艦上爆撃機を生み出す案でした。ただ、同機は本来、陸上機であり、空母に載せるには大きすぎました。

 ゆえに、発艦こそできるものの着艦は無理であり、目標を爆撃しようと空母から飛び立った後は、味方の陸上基地へ向かうか、もしくは空母近傍まで戻ってきたら不時着水する「片道出撃」という運用方法を採るしかありませんでした。しかしこれは、艦上機の運用方法としては完全な「邪道」です。

 そのため、アメリカ海軍は、P-2「ネプチューン」の片道出撃を暫定的なものと位置づけ、その間に本命といえる原爆を搭載可能な本格的な艦上攻撃機の開発を急ピッチで進めます。もともと海軍は、終戦直前の1945年8月に1万ポンド(約4.54t)の爆弾搭載能力を有する新たな艦上攻撃機の開発をノースアメリカン社に発注していたことから、同月後半に同機を原爆搭載可能なように改めることを決めました。

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採用直後の1949年10月、パタクセントリバー海軍航空基地に配備されたAJ「サヴェージ」(画像:アメリカ海軍)。

 大重量の原爆を搭載するため、エンジンはヴォートF4U「コルセア」やグラマンF6F「ヘルキャット」といった傑作戦闘機にも搭載され、かつ運用実績の積み重ねにより信頼性も高かったプラット・アンド・ホイットニーR-2800ダブルワスプ空冷星型エンジンのターボチャージャー付き2基をメインに、胴体後部にロッキードT-33「シューティングスター」ジェット練習機などに用いられたアリソン J33ジェット・エンジンを1基搭載することで対応可能なようにしています。

 なぜ、このように異なる2種類のエンジンを搭載したかというと、当時のジェット・エンジンはレスポンスが遅く、発艦時や戦場離脱時など高速飛行の際に使用するものとされ、巡航時にはストップさせることが前提とされたからです。そのため、胴体上部に設けられたJ33用空気取入口も、抵抗減少のためエンジン停止時には閉じる構造となっていました。

【あれ、エンジンさらに追加!?】新型エンジン追加で総計4発になった激レア「サヴェージ」ほか(写真)

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