埼京線に吸収された“マイナー線”って? 近未来に大化け「激込み踏切」解消の予定も

間もなく姿を消す「歴史の生き証人」も

 もうひとつの「赤羽線(十条駅付近)連続立体交差化計画」は、東京都と北区、JR東日本の3者共同で十条駅を挟んだ約1.5kmの線路を高架化し、間にある6つの踏切を解消して交通の円滑化を図るものです。

 計画では、現在の線路の東側に仮線を設け、高架線の完成を待って順次線路を移設し、仮線用地は高架線の完成後、線路と並行する街路として整備する予定です。連続立体交差事業は2030年度、街路は2031年度の事業完了を目標としています。

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連続立体交差化計画を告知する看板(咲村珠樹撮影)。

 2017(平成29)年に都市計画決定が告示され、すでに一部では仮線用地が確保されているものの、工事予定区域は住宅密集地であり、地権者も多いため用地取得は思うように進んでいません。敷地が全部かかってしまう住宅も多く、代替地の確保や移転には時間がかかりそうです。

 また、工事の仮線用地に予定されている北区立十条富士見小学校の敷地には、旧日本陸軍の東京第一陸軍造兵廠のレンガ塀が保存されていますが、これも工事によって取り壊されることが予想されます。これは、赤羽線を走る列車から造兵廠の敷地内を見られないよう、防諜用で作られたものですが、この戦争遺構の現地保存は困難なだけに、どのような措置となるかも注目です。

 開業から140年近くの歴史をもつ赤羽線は、いま大きく変わろうとしています。この機会に沿線を訪ねてみるのも、面白いのではないでしょうか。

【了】

【なぜ、そこにレンガ塀?】これが十条駅の近くに残る戦争遺構です(写真)

Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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