「自動車保険料、上げるってよ」審議前に漏れて“その通り”に 大臣「適切な情報管理を」
自動車保険料の値上がり・値下がりの根拠として損保料率機構が計算する改定の“案”。慎重に審議されるべきその案が、出た段階ですぐ流出、内容が一人歩きして、それが追認されるケースが相次いでいます。これでは保険契約者である自動車ユーザーに不利益を与えかねません。
保険料の増減に関わる「案」が流出→「追認するしかなくなる」
損害保険料率算出機構(早川眞一郎理事長)が計算する「参考純率」や「基準料率」の改定は、自動車ユーザーが負担する自動車保険料に大きな影響を与えます。保険契約者に示される保険料は、最終的にはそれぞれの会社が判断するものの、一般的には機構が示す改定に沿って、機構が率を上げれば保険料は上がり、下げれば保険料は下がる傾向です。
機構が理事会で決定する「案」は、金融庁や審議会が精査して正式決定され、保険会社が保険料の改定の根拠とします。そのために法律は機構などの算出団体に対して、保険契約者の保護を目的とすることを定めています。
ところが、保険料に影響する改定案が機構の理事会で決議されると、その内容がそのまま漏洩して公知の事実となることが相次いでいます。
例えば、機構は2024年6月24日に金融庁に対して、自動車保険に関する参考純率の改定案を届出しました。金融庁は6月28日に改定案が法律に適合していることを通知しました。しかし、改定案は機構が理事会で決定した直後には流出し、金融庁が改定案を認めた時には、すでに公知の事実となっていました。
改定のプロセスでは、金融庁の精査を経ることが必要条件になっていますが、結果的に流出した内容を追認する形にしかなっていません。
こうした情報漏洩は、改定のたびに繰り返されています。2024年1月に開催された自賠責保険審議会は、電動キックボードなどの特定小型原付の基準料率を原付バイクなどの原動機付自転車と分離して、引き下げる改定を行いました。この情報も審議会が審議をする約1か月前の前年12月、機構の理事会に改定案が出されることが判明した直後に漏洩しました。
情報が公知の事実となった12月、自賠責審議会の事務局である金融庁は、特定原付が審議会の議題となることすら明らかにしていませんでした。このケースでも審議会は、漏洩した基本料率案に沿って、率案のまま追認する形になりました。
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