「ワタシの知ってるF-15じゃない!」まるで別の戦闘機「イーグルII」の機動飛行がヤバすぎた!
同じF-15なのに動きが全然違うワケ
従来のF-15「イーグル」は、舵面を動かす油圧アクチュエーターとパイロットが操作する操縦桿が機械的に接続されていました。補助的に「制御増強装置(CAS)」という飛行制御装置が使われていましたが、基本的にはF-15は「人間が操縦する戦闘機」でした。
一方、新型の「イーグルII」ではパイロットの入力信号がコンピューターによって処理され、電子信号に変換されてアクチュエーターを動かすことで、コンピューターが機体の姿勢を緻密に制御することが可能となり、人間には不可能である高度な機動性を実現できました。イーグルIIは「コンピューターが操縦する戦闘機」と言えるでしょう。
F-15はもともと保守的な思想の飛行機であり、先進的なF-16としばしば比較されますが、両者における大きな違いの1つがフライ・バイ・ワイヤの有無でした。しかし、そのような戦新装備の象徴であったフライ・バイ・ワイヤも、昨今の戦闘機ではもはや標準的な技術となっています。「イーグルII」はその技術を用いることで、原型の「イーグル」が持っていた機動性のポテンシャルを最大限に発揮できるようになったと考えられます。
現代戦闘機どうしの戦いでは、多少の機動性の差はあまり意味を持ちませんが、「イーグルII」のフライ・バイ・ワイヤ化はF-15の搭載武装強化というメリットももたらしています。具体的には、これまで安定性の問題から事実上使用不可能だった主翼下外側の兵装搭載ステーション(Sta1/9)に、武装を施すことが可能となったのです。
これにより「イーグルII」は、空対空ミサイルの装備数が8発から12発へ1.5倍増加しています。こうした搭載量の増加は、近年増えてきたドローン対処に有用であることが判明しています。
F-15「イーグル」は、初飛行から半世紀以上経つ長い歴史の中で多くの改良が重ねられてきました。その集大成ともいえる「イーグルII」の登場は、F-15の歴史における1つの大きな転換点となるのは間違いないでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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