「ガンダムに追加装備テンコ盛り!」はウクライナ戦争にも通じる? “弱すぎ機”でのカツ撃墜は政治的事情だった面も

無茶な強化がカツの撃墜された理由!?

 その一方、続編『機動戦士Zガンダム』の時期になると、MSの耐弾性能はかなりの進歩を遂げます。新素材・ガンダリウムγが優れているのか、装甲に施された対ビームコーティングの効果が大きいのか、この時期のMSはビームライフルが直撃しても、撃墜されないことも多くあります。

 カミーユのZガンダムは、劇中後半で「オカルトパワー」によりビームを弾いた例をのぞいても、ビームの直撃を受けたのに、ほぼ無傷で戦闘を続行している例もあります。初代「ガンダム」と何度も交戦して生還しているのがシャアだけであることを考えると、長足の進歩を感じるわけです。

 これほどガンダリウム合金が進歩し、効果的な装甲材なのであれば、チタン合金セラミック複合材という旧式の装甲材であるガンダムMK-IIの性能が問題視され、追加装備で能力を強化しようと動くのも理解できます。

『Zガンダム』劇中でのガンダムMK-IIの立ち位置は、敵であるティターンズから奪取したMSというもの。いわば鹵獲兵器という扱いですが、奪取した側も連邦軍人が多くいるエゥーゴですから、わざわざ色を白く塗り替えて使っていました。「本来あるべき栄光の連邦軍で活躍したガンダムは白」という思いでそうしたのでしょう。ブレックスなど、エゥーゴ幹部はカミーユを「アムロ・レイの再来」と位置付けたい言動をしていましたから、「白いガンダムMK-II」はガンダム伝説の再来で、エゥーゴ勝利の象徴でもあったのでしょう。

 そうなるとガンダムMK-IIはもう「政治的な存在」ですから、撃墜させるわけにはいきません。そのため、Gディフェンサー、メガライダー、フルアーマーパーツなどの強化装備を、同機の製造元でもないアナハイム・エレクトロニクスが手掛けていたのだと思われます。

 Gディフェンサーは単体だと強力なビーム兵器を装備した戦闘機ですが、ガンダムMK-IIと合体したあと、不要なコクピットを切り離す設計でした。切り離されたコクピットは運動性能も火力もないため、乗っていたカツは簡単に撃墜されます。明らかに人命を軽視した設計のように感じるものの、それを詰める時間がないほど「早くガンダムMK-IIを強化しろ」という要請が大きかったのかもしれません。

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高度な技術と資金のある大軍需企業が、やりたい放題した場合。(イラストレーター:ハムシマ)。

 このような様々な「追加装備」でも政治的背景を考えられるところが、『ガンダム』シリーズの物語の広がりであり、楽しみの一つなのだと筆者(安藤昌季:乗りものライター)は考える次第です。

【了】

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