世界初の「鉄道・バス両用」これでいいの? 全運休となったDMV 「やってることバスと同じ」という疑問
観光に特化した方が集客を望める?
そのまま道路を走ったDMVは、終点の阿波海南文化むらに15時23分に到着し、3名が下車しました。
結局、鉄道で走る阿佐東線内の乗降はゼロ。室戸岬からの観光集客は必要です。車窓案内のほか、希望者には降りてもらい、外からモードチェンジを見学できた方がよいと感じました。土佐くろしお鉄道奈半利駅までの直通も必要でしょう。
阿佐東線の地域輸送としては徳島バスが並走し、全駅に停留所を置いています。DMVは車両価格がバスより高く、輸送力も小さいです。「バスで十分」と言われないために、きめ細かな接客や、豪華で特徴的な内装など、観光客のリピーターを増やす進化が必要と感じる次第です。
なお、DMV自体には可能性も感じました。通常鉄道との直通はDMV用ホームの新設が必要になり、また自重が軽いDMVはポイント動作に支障をきたすと思われますが、直通先が路面電車ならば車高の低さ、自重問題をクリアしやすく、モードチェンジの施設も簡便にできるかもしれません。また地域輸送ではなく、観光特化すれば客単価を高くできるでしょう。
例えば、高知市内を走る路面電車のとさでん交通から「アンパンマンミュージアム」(高知県香美市)を結ぶ「アンパンマンDMV」として、「チャギントン列車」(岡山電気軌道)のようにアニメを感じさせる内外装で予約制にすれば、好評を博すかもしれません。
【了】
※一部修正しました(10月28日17時30分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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