「“戦車大国”やめます」「やはり復活します」方針転換に高い壁 手放した代償はどれだけ大きい?

かつては戦車大国だったオランダ。しかし世界が融和ムードになりつつあった冷戦後、財政上の理由もあり戦車を手放しました。ただ、ロシア・ウクライナ戦争を機に方針転換。戦車復活を急ぎますが、空白だった期間は想像以上に痛手です。

「国防は蓄積である」

 NATOの標準的な戦車大隊は44両で編成され、訓練用や予備車両も必要です。オランダは1個大隊分の戦車46両に追加オプションを6両、合計で最大52両の新型戦車を調達する計画ですが、かつて900両の戦車を運用したノウハウは、ほとんど失われています。取り戻すには長い時間とコストがかかりそうです。

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90式戦車(左)と74式戦車。戦車は退役すると少数は静態展示されることもあるが、ほとんどが溶鉱炉行きになる。来年度から一部モスボールされることが決まった(画像:那覇駐屯地)。

 オランダ紙『NRCハンデルスブラッド』によると、レオパルト2の年間の維持費用は最大で約3億5000万ドル(503億円)と報じられています。NATO加盟国は国防費をGDPの2%とする目標を立てていますが、とてもそれでは足らず、軍内で優先順位の取り合いになっています。

 日本においても、主力戦車は削減される方向です。地政上の環境は違いますが、オランダの例は「国防は蓄積である」ということを再認識させられます。

 16式機動戦闘車は戦車と見なされていないものの、防衛省や自衛隊では機甲科として戦車に準じた運用が期待されています。「装輪戦車」は戦車取扱いのカンを持続的に維持するひとつの選択だと筆者(月刊パンツァー編集部)は考えます。来年度からは退役した74式や90式戦車がモスボールされる予定です。

 オランダ空軍のアンドレ・ステュール中将は、「ロシアだけが脅威ではないが、ロシアが2022年2月24日時点の完全な戦力に回復するまでのスピードを見ると、我々の動きは遅すぎる。それは同盟国全体でも明らかだ」「ここにいる全員が戦争を防ぎたいと望んでいる。だから最も重要なのは、我々が戦争を抑止できる力を持つことだ」と話しています。

 限られた予算をどのように配分し、どの装備を持続的に運用するかを見極めるのは非常に難しい課題です。

【写真】オランダ国旗を掲げたドイツ戦車!? 鉄十字の入ったレオパルト2

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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