新型電車「ナントカ系!」←昔いたよね? 「形式名」はなぜ使い回されるのか 同じ名前の2代目・3代目も!?

ややこしい「京急」

 京王・東急・小田急・京成ともに、初代車両はすべて運用を終了しており、初代・2代目が同時期に使用されたことはありませんが、京急電鉄の1000形に関しては、初代1000形が引退した2010(平成22)年と2代目1000形が運用を開始した2002年(平成14)年の約8年間にわたって併用されていたのは興味深いところです。

 なおややこしいことに、京急の初代1000形は、登場時は800形を名乗っていましたが、のちに2代目の800形が登場しています。かつての快速特急用車両600形も、デビュー時は700/730形でした。こちらも、のちに700形の2代目を迎えています。

 ところで、かつて京王・東急・小田急・京急の4桁数字には「割り当て」が決まっていました。この4社は、第二時世界大戦直前では京王電気軌道、東京横浜電鉄、小田急電鉄、京浜電気鉄道と称していましたが、1942(昭和17)年以降、相模鉄道なども含めてすべて東急に合併。「大東急」と呼ばれる体制に移行しました。

 その際、各社バラバラだった形式の重複を避けるため、旧小田急および井の頭線が1000番台、旧京王が2000番台、旧東京横浜電鉄が3000番台、旧京浜電気鉄道が5000番台と決められました。

 このルールは、戦後再び4社が分離したのちも、しばらく残りました。京王1000系は井の頭線用、京王2000系は京王線用、東急3000系といった形式から、その付番方法が守られていたことがわかります。

すでにいる!同じ会社で「3代目」

 このほか、国鉄キハ40系、江ノ電500形、名鉄600形、京阪600系・1000系、福井鉄道モ140形なども、初代と2代目がある(あった)車両です。近鉄600系・2000系、名鉄3300系などに至っては、3代目まで存在します。

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京急800形と初代1000形の代替に、2002(平成14)年から運用をスタートした車両も、1000形を踏襲した。当初アルミ製だった車体は、のちにステンレス製に変更して、現在も製造が続いている(画像:遠藤イヅル)。

 2代目以降の形式を持つ私鉄車両の中には、前述の京急1000形のように、登場時は800形だったものの形式変更で1000形に編入された車両や、近鉄1250系のように、後から製造された他の車両(この場合1230系)の番号が追いついてしまったため、1420系に改番されたという例もあります。

 主力形式が時代の流れによって消滅し、新たに登場する別の車両が受け継ぐという重複形式は、これからも増えていくと思われます。今後、どのような車両が登場するのでしょうか。

【了】

【懐かしすぎる!】京王「2000系」ほか各社の「初代」車両たち(写真)

Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。

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