マツダの専売特許じゃない!? いまや幻の「ロータリーエンジン大国」ラインナップは驚愕の20種類!
秘密のベールに包まれた旧ソ連のRE
最後に紹介するのは旧ソ連(現ロシア)のRE車です。同国の一般庶民に購入を許されていたのは、低出力のVAZやZAZなどに限られており、ソ連政府はKGBを含み治安機関や官公庁、要人の移動用の高性能車にRE搭載車を少量生産していました。同国のREについては共産主義政権の崩壊まで秘密のベールで隠されていたことから、開発経緯など現在でも詳しいことはわかっていません。
どうやらNSU製エンジンを入手し、それを分解・解析することで、リバースエンジニアリングという形で独自に技術発展させたようです。ただ、その一方で1974年にソ連からNSUに技術者を派遣したという記録も残っています。
ソ連のRE搭載車種は全部で8車種が確認されており、VAZ-2101「ジグリ(コペイカ)」に1ローターのVAZ-311エンジンを搭載した「21011」、VAZ-2106「ジグリ2106」に2ローターのVAZ-411エンジンを搭載した「21079」などが代表的なモデルです。試作エンジンや航空機用なども含めると1~4ローターまで20種類のREが製造されたようですが、連邦が崩壊してしばらく経った2002年頃までに、いずれのエンジンも生産を終了しています。
REはトヨタ、日産、GM、フォード、AMC、メルセデス・ベンツなど、様々なメーカーが開発にチャレンジしましたが、搭載する四輪車モデルの市販化までこぎ着けたのはマツダと上記の2社+1国だけでした。
【了】
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか
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