史上初「民間船を撃沈せよ!」海上自衛隊への出動命令 潜水艦まで出た“災害派遣”その顛末は
自衛隊の「災害派遣」は地震や台風などの「天災」のみならず、事故や事件など「人災」を受け出動することもあります。そのひとつに、かつて東京湾沿岸を20日間にわたり戦慄させた「第十雄洋丸事件」が挙げられます。
再びの大炎上と漂流
座礁した「第十雄洋丸」は、ここでナフサやプロパンを燃やし尽くす予定でしたが、それに沿岸の養殖業者などが反発。結局、炎上したまま太平洋上まで運び、そこで焼尽させることになったのです。
こうして太平洋へ向けて再度のえい航を開始、東京湾をぬけますが、目的地まであと少しのところで再びナフサが大爆発を起こします。これを受け、安全のためにタグボートはえい航を断念、えい索を切り離したことで「第十雄洋丸」は漂流を始めました。

火は船の全タンクに回り、大炎上。さらに黒潮の流れに乗って漂流を開始したため、危険性は前回の比ではありません。
海上保安庁は、これを甚大な災害とし、「第十雄洋丸」の処分を求めて自衛隊の出動を要請しました。こうして海上自衛隊始まって以来の、武器を用いた災害派遣が実施されることになったのです。
海上保安庁からの要請を受け、防衛庁長官(当時)より海上自衛隊へ出動命令が下されました。派遣されることになったのは、護衛艦「はるな」「たかつき」「もちづき」「ゆきかぜ」、潜水艦「なるしお」、そしてP-2J対潜哨戒機です。
計画では、まず艦砲射撃や爆撃により、タンクに穴をあけて、ナフサなどをすべて燃やし尽くします。その後、魚雷により船体に穴をあけて撃沈処分。この方法であれば強靭な特殊鋼でつくられたタンカーでもなんとか沈むのではないかと考えられました。
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