活用されない地方の高速道路 イタリアにあるヒント

利用者が「割に合わない」と感じる地方の高速

 私は日本全国の高速道路の9割以上を走破していますが、過疎路線を走ってしみじみ実感するのは、「割に合わない」ということです。並行する国道など一般道の流れが良好で、平均速度50~60km/hを維持できるのに対して、高速は暫定2車線で制限速度70km/h。わざわざ走っても大して時間短縮にならず、全国一律のバカ高料金だけは取られる。これでは「ウシやクマしか走らない」と言われるのも無理はありません。

 しかしそんな路線も、料金をタダにすれば大いに活用されます。交通量は約2倍になって、そのぶん一般道の混雑は緩和。交通事故も減ります。つまり役に立つ道路になるのです。その意味で、通行料金が無料な新直轄方式は大変合理的です。

 たとえばすでに新直轄方式で開通し、無料の日本海東北道の仁賀保~岩城間(秋田県)。並行する国道7号線から続々とクルマが流れ込み、立派に地域の足となっています。しかし7~8割のクルマが岩城ICで降り、そこから先、秋田市までは国道を走ります。なぜなら岩城ICから先は新直轄方式ではなく有料で、しかも大した時間短縮が見込めないからです。

 首都圏のドライバーは、高速があったらまずそちらを選択するでしょう。その理由は、確実に時間短縮が見込めるから。たとえば東京(用賀)から静岡県の御殿場へ向かう場合、東名高速を使えば約1時間ですが、一般道だとその3倍はかかります。その意味で、高速代(2570円)は高くありません。

 しかし過疎地の場合、一般道を走ってもせいぜい5割増しの所要時間を見ておけば到着できるので、まったく割に合わないのです。

 今回、東九州道の佐伯~蒲江間が開通することで、大分~宮崎間が高速道路で直結されます。かつて東国原前宮崎県知事も切望していた開通です。無料なのは佐伯~延岡南間67.2kmのみですが、この無料区間は確実に役に立つ道路になるでしょう。

 尾道道は松江道と合わせて、尾道~松江間の大部分にあたる70km以上を無料で連絡。道東道も数年以内には釧路まで延伸され、本別~釧路間はいまより快適な移動が可能になります。

 しかし、大きな問題点も残っています。日本海東北道のように無料区間が終わると、いきなりバカ高区間になってしまうことです。

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コメント

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9件のコメント

  1. 同感です。特に他の高速道路と連結していない高速道については全線開通するまでは無料にすべきと思います。5キロや10キロずつちびりちびりと建設される道路については料金に対して時間短縮があまりにも少ないといえます。

  2. 国道246号線の沼津~御殿場間も、見通しが良い道なのに並走している東名高速道路がある為か、信号が青になると先の信号が赤になり、スムーズに走らせないように止まらせている印象を受けます。
    高速道路も料金の設定で車の流入をコントロールできるので、時間や交通量により変えていっても良いと思います。

  3. 私横須賀市に住む自営業者で、年間4万キロ首都圏を走って、高速代70万円位架かっています。
    清水草一様の首都高に対するコメントに共感して、ココに来ました。

    ガソリン車ですので、民主党のガソリン暫定税廃止等に期待していましたが、反故にされました。
    が、トヨタからプリウスと言う救世主に代替して、年間60万円のガソリン代が25万円に成りました。

    買う時に「バッテリー交換が高いぞ」と、トヨタ以外の営業に脅かされましたが、24万キロ以上走ってバッテリー問題なしです。
    同じペースで使用の前車では、ブレーキパッド4回・ローターも1回交換した時期です。
    バッテリー交換しても20万位ですから、本当に神様仏様プリウス様です。

    フェラーリ乗っている方から見たら、5000回転(BLITZのモニター付けました)位しか回らない1500ccでは?

  4. 首都圏近郊とか確かに田舎より高いから、もう少し頭を捻ればたどり着きそうなはずなのに、確かに今の高速料金は残念です。

  5. 地方の国道の平均速度が60/kmって、確実にスピードオーバーじゃん!

  6. 同感です
    高速道路の料金が高すぎる
    柔軟な料金体制は良い案だと思います
    国土交通大臣にお願いしたい。

  7. 高速料金を下げると利用者にとってはメリットがありますが、地方の公共交通機関がダメージを受けるために躊躇しているのではないかと思います。
    高速道路の料金が無料または安い欧米では、鉄道での旅客輸送のシェアは日本よりも低くなっています。高速道路の料金を下げる原資があるなら、ヨーロッパのように公共交通機関にもっと税金をつぎ込んでほしいという話が必ず出ます。
    道路は線路ほどには維持の水準が高くなくても良く、ドライバーが自分の車を自分で運転するので、高速道路の場合は借金と利子の償還が済めば料金の水準を下げることができますが、鉄道は一定の経費がかかるため、料金水準を下げるわけにはいかず、旅客の少ない地方路線であれば、逆にもっと値上げをしないとやっていけないのが現状です。異なる交通モード間のバランスをどう取るかが、高速道路の料金を決める際の課題になります。今の高速料金はガソリン代を加えると一人分の新幹線代より少し高くなるぐらいの水準に設定されています。

  8. 地方に住んでいると、節約志向になって高速道路も公共交通機関も滅多に使わない。車で一般道を走るだけ。

  9. 一般国道をすべて、立体化、高速化すれば、工事業者も莫大な利益が見込めるし、工事後は国民が便利さを享受できる。
     もちろん無料でなくては意味がない。ハワイのハイウェイのように、出入り口もたくさん作れる。