「なんじゃこりゃ!?」な奇抜車がどうして“40年ベストセラー”に? ホンダの「ザ・配達バイク」のスゴさを今こそ称えたい!

宅配バイクとして不動の地位を誇るホンダ「ジャイロ」シリーズ。当初は斬新な「新感覚の乗りもの」とうたわれた、ある意味キワモノ的存在でしたが、ビジネスに欠かすことのできない乗りものとして40年以上支持されることとなりました。

電動ジャイロも一般へ

 主にここまでが、ガソリン車におけるジャイロXおよびジャイロシリーズとも言うべきジャイロUP、ジャイロキャノピーの変遷ですが、さらに2021年には、この機能性を電動バイクに継承したジャイロe:、ジャイロキャノピーe:が登場。

 当初はバッテリー充電・リサイクルなどの観点から法人企業向けの販売だったものの、2023年よりバッテリー回収を実施するホンダの電動バイク取り扱いショップで、一般ユーザー向けの販売も始まりました。

 他方、特にジャイロXの42年間の歴史の間では、カスタムベース車としても支持が高まり、専門ショップや社外パーツも登場。

 特に「角ばっていた」初期モデルをベースに、アメリカンスタイルのカスタム事例が多く登場し、この影響から古い年式のモデルでも「値崩れしない」傾向があるのもまたジャイロXの特徴のように思います。

 ジャイロX開発時、今日まで続く「実用ニーズ」「カスタムニーズ」を強く意識していたかどうかはわかりません。ただし、世にあまたあるバイクの中でも、ユーザーが「ビジネスに欠かせないバイク」「他にはないカスタムができるバイク」としてその価値を高めていったという稀有な例が、ジャイロXおよびジャイロシリーズの特徴でもあるように思います。

 1982年の登場時は斬新で、超個性的な面ばかりに気を取られるユーザーが多かった一方で、実はその斬新性を遥かに超える、優れた機能性・実用性を隠し持っていたのがジャイロXだったように感じます。

【超カワイイ!】もう“レゴのバイク”にしか見えない初代ジャイロX(写真)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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