寝台券いらず! 「サンライズの“横になれる”座席」は本当にノビノビできるのか? カーテン持参する人も!?
寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」には、寝台料金不要ながら横になれる普通車指定席「ノビノビ座席」が連結されています。まるで客船のようなこの設備の特徴を徹底解説します。
ズバリ、ノビノビ座席の振動と騒音はどのくらい?
開放型区画であるノビノビ座席では、やはり周囲への警戒に気を抜けません。先述した通り隣席とのあいだにはカーテンがなく、盗難への注意が必要です。また運悪く、体臭の強い人が隣の区画となった場合は防ぐ方法がありません。空調が操作できるので、夏なら風向きを調整するくらいでしょうか。通路側とのカーテンを閉めても、深夜でも共用シャワーやラウンジの利用者などが行き来しますから、歩く音や人の気配は伝わってきます。
そうした理由から、人の気配や臭いが気になる人は利用を避けた方がよいでしょう。寝心地も、個室寝台はレール方向ですが、ノビノビ座席は枕木方向なので、好みが分かれると思います。騒音、振動は以下の通りです。
・ノビノビ座席上段(3番C席)
平均騒音:55.5dB(静かな事務室程度)
最大振動:震度3.7
平均振動:震度2.5
・ノビノビ座席下段(3番B席)
平均騒音58.4dB(静かな事務室程度)
最大振動:震度3.2
平均振動:震度1.7
総合的な居住性では個室寝台に劣るノビノビ座席ですが、寝台券は不要なため、区間利用には便利です。東京から熱海、沼津などへは、普通列車のグリーン車より快適です。筆者の友人は、東京から浜松への帰省に使っていました。また、出雲市発が最終「やくも」より遅いので、岡山、姫路、三ノ宮、大阪までも便利です。
鉄道では極めて珍しい、客船のカーペット席のようなノビノビ座席。旅情溢れる設備であり、長く続いてほしいものです。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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