おい信じられるか?「JOG」と「Dio」が今や“親戚”なんだぜ… ホンダとヤマハ「スクーター大戦争」の“ちゃんちゃん”な結末
2025年はガソリンモデルの50cc原付1種が生産を終了する見込みです。そうした原付のなかで最も身近なスクーター。その2大巨頭といえるヤマハ「ジョグ」とホンダ「ディオ」は、熾烈なライバル関係から“親戚”のような関係に変化しました。
スクーター界の「HY戦争」でジョグがまず誕生
2025年は、11月に排ガス規制が強化され、50cc以下のガソリンモデルの原付は各社が生産を終了する見込みです。すでに50ccのラインアップはかなり縮小。しかし1月現在も残り続けているモデルの一つが、ヤマハのスクーター「ジョグ(JOG)」です。長きにわたりライバル争いを繰り広げたホンダ「ディオ(Dio)」は110ccモデルで残っています。
といっても、実は現在のジョグはホンダが製造しており、ディオとは差別化が図られています。なぜそうなったのか、2大スクーターを振り返ります。
1970年代後半から1980年代前半のバイクシーンは、ホンダ・ヤマハの熾烈なシェア争いが繰り広げられ、俗に「HY戦争」と呼ばれています。特にホンダは「多いときは毎週新モデルを発売していた」と言われるほどで、この時期に様々なバイクを発売しました。
原付スクーターをめぐっては、「パッソル」(1977年)や「パッソーラ」(1978年)がヒットしていたヤマハに攻勢するような格好で、ホンダがさらに新モデルの「タクト」を1980年に発売し、一気に優勢を勝ち取るような構図が見て取れました。
まるでトランプの「大貧民」のような優劣が行き来する状況でしたが、「HYの終戦宣言」がなされた1983年、ヤマハが「これが最後ですよ!」と言わんばかりにカードを切ったスクーターがありました。それが「ジョグ」でした。
パッソルやパッソーラの時代からはかなり飛躍したスクーターで、1983年当時の原付スクーターでは最大となる4.5ps(馬力)を実現。鳥のクチバシのように尖ったカウルとボディが一体化させたデザインは、当時の若者たちにおおいに受け入れられ、後の国産スクーターにも大きな影響を与えたと言われています。
また、ホンダは1984年の3代目タクトによって、ジョグをさらに上回る5.0psの出力を実現。また畳み込むように、1985年に新モデル「DJ-1」で5.2psを実現しました。
タクトの立ち位置がやがて一般ユーズ向けに変わっていった一方、このDJ-1は若者向けのスポーツモデル的な位置付けの独立したスクーターでした。「1」とあるので、2とか3とかを出す意欲もあったのかもしれませんが、結果的には3年間という短命で終わり、後の「ディオ」にその立場を譲ることになりました。
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