急行電車も「ボタン押すだけ」 いきなり主要路線から「自動運転化」踏切たくさんでも大丈夫? 京王に聞く狙い

京王電鉄は電車のワンマン運転を見据え、井の頭線で2025年春に自動運転の実証試験を始めます。距離が短い支線からの導入ではなく、いきなり主要路線で始める理由や舞台裏を京王の担当者が明かしました。

短い支線からじゃないワケ

 GoA2は東京メトロ丸ノ内線、南北線、有楽町線、つくばエクスプレス(TX)といった一部路線で既に実用化しています。花井さんは「井の頭線の場合は、踏切があるのが今までの導入路線とは毛色が少し違うと考えています」と言及しました。

Large 20250114 01

拡大画像

実証が行われる井の頭線(画像:京王電鉄)。

 ところで、なぜ井の頭線へのATO導入を京王線より先行させるのでしょうか。花井さんは「井の頭線は全て5両編成の電車が最高速度90km/hで走っているのに対し、京王線は8両編成と10両編成の2種類あり、最高110km/hで走っている」ため、難度が高くなると指摘しました。

 最高速度が高い場合には「駅に向かってブレーキをかけるタイミングが早くなるため、自動運転に対応する地上設備をより幅広く置かなければいけなくなる」そうです。さらに京王線は8両と10両の2種類の編成があり「それぞれ停止目標の位置が違い、どちらにも地上設備を置かなければいけなくなる」とのこと。

 急行と各駅停車だけの井の頭線と比べて、京王線は種別が多く、都営地下鉄新宿線と相互直通運転をしている点も異なります。

 そこで、京王線より導入のハードルも低い井の頭線から実用化し、試験結果も生かして京王線にも展開するということです。京王線では2030年代前半にホームドアの設置を完了し、2030年代中ごろに自動運転を実用化する計画です。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は、ともに最高速度が70km/hの支線の競馬場線(東府中~府中競馬正門前)と動物園線(高幡不動~多摩動物公園)の両線の方が、主要路線の井の頭線より自動運転が容易ではないかと考えました。

 他の大手私鉄の事例を見ても、南海電気鉄道が2023年8月に自動運転走行試験を始めたのは和歌山港線(和歌山市~和歌山港、2.8km) 、東武鉄道が自動運転に対応した新造車両を導入して28年度以降に検証運転を実施するのは大師線(西新井~大師前、1.0km)と、ともに短距離の支線です。

 なぜ支線を優先しないのかを花井さんに尋ねると、「ともに手動でのワンマン運転を既にしているため、自動運転の導入によるワンマン化には、井の頭線の(優先の)方が良いと判断した」との回答でした。

【ポチッとな→電車が走る】これが京王の「自動運転」です(写真)

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 車掌削減はバブル期からやってたのだから

    電車の自動運転くらい、前世紀windows95の頃にさっさとやっておけよ

  2. この種の半自動運転はホームドアへの対応と共に増えていますね

    全自動運転への布石かと

    誰かが書いてるけど、リアルタイムOSでないwindows95で自動運転したら事故るしw