「ヤンキーのガニ股乗りスクーター」の元祖に!? 女性向けのソフトバイクが、なぜかツッパリの熱い支持を得ちゃったワケ
1970年代中盤から確立されたジャンルであるファミリーバイク。なかでも革命的な存在として、のちのスクーターブームにもつながったのが、ヤマハから発売されたパッソルです。そんなパッソルにまつわるさまざまな「逸話」について、ご紹介します。
生産終了後に流行した「パッジョグ」カスタム
ともあれ、パッソルは進化モデルのパッソルIIを1982(昭和57)年にリリースするも、1985(昭和60)年には8年の歴史にいったん幕を閉じることに。当時のヤマハの主力スクーター、1983(昭和58)年発売のジョグにその座を譲る格好となりました。
しかし後には、このジョグのエンジンや駆動系をパッソルのフレームにスワップする「パッジョグ」なるカスタムも流行。さまざまなカスタム事例がある中で、やはり欠かせないのがヤンキー車風のパッショグです。後年になってもなお、「ヤンキー×パッソル」の強い親和性が衰えることがありませんでした。
そんな時代を経て、2001(平成13)年にヤマハはかつてと同名の電動スクーター、パッソル(SY01J)を、さらに2005(平成17)年にはパッソルLをリリース。まだ二輪EVが全く確立されていない2000年代前半に再び「パッソル」の名を冠した電動スクーターを発売したところに、ヤマハの二輪EVの市場確立・拡大への強い思いが垣間見えます。
いずれにしても、当初は女性向けだったソフトバイクが大ヒットに至り、一人歩きしていったことで、図らずも「ヤンキーからの支持」にも繋がったパッソル。今日もなお、その伝説が語り継がれる小さな名車であることには違いありません。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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