間もなく見納め…いやいや、まだ走ります! この春が「完全引退じゃないよ」鉄道車両3選

2025年春に引退を予定している鉄道各社の車両。しかし、それは「完全引退」ではないかもしれません。引退する車両を他社が保有しているケースがあるからです。「ドクターイエロー」も、引退するのはJR東海所属の編成だけです。

関東にもやって来た!? 南海2200系

 南海電気鉄道では、2025年春に2200系が引退する予定で、これを機にして約30年前の車体塗装を復刻した車両も登場しました。

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2025年春に引退予定の南海2200系。この車両は銚子電鉄に譲渡され、第二の人生を歩んでいる。(2022年11月、柴田東吾撮影)

 南海電鉄の路線は大阪の難波から和歌山方面に向かう南海線と、高野山方面へ向かう高野線に大きく分かれていますが、2200系は主に、南海線からさらに枝分かれしている汐見橋線(高野線汐見橋~岸里玉出)などの支線で使用されています。

 1969(昭和44)年に登場した当初は22000系と呼ばれ、高野線の高野山(極楽橋)方にある急カーブや急勾配の走行に対応した「ズームカー」の一族として製造されました。22000系を更新した際に2200系となり、さらに支線に転用されるとワンマン運転に対応する改造も行われました。

 2200系は汐見橋線などからは引退しますが、2200系を改造した観光列車の「天空」は引き続き使用されます。「天空」は高野線の橋本~極楽橋間で指定日に運転されており、南海電鉄が保有する2200系の最後の生き残りとしても希少な存在となるのです。

 また、「ねこの駅長」で有名な和歌山電鐵貴志川線と、「ぬれ煎餅」で知られる銚子電気鉄道に渡った車両も引き続き使用されています。和歌山電鐵では「たま電車」など、個性ある電車が走っていますが、これらの車両は南海の22000系が基になっています。

 和歌山電鐵では南海電鉄の路線だった時代に22000系が転用されて2270系となり、和歌山電鐵の発足後は路線とともに2270系も譲り受けています。転用の際、ワンマン化改造によって前面の形や扉の位置が変更されたため、2200系とは様相が異なります。

 銚子電鉄は2023年に2200系を譲り受け、翌年から22000形として往年の塗装と番号に復刻のうえ運行しています。現在はさらに第2編成を譲り受け、観光列車とするプロジェクトが進んでいます。

関東に来た関西の車両 まだまだ走ります!(写真)

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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