「うちにある敵の兵器、いる?」 イスラエルが「拾った」ロシア製兵器をウクライナに供与提案 じつは“伝統的なやり方”って!?

イスラエルは2025年1月27日、ウクライナに対してイスラエルがレバノンの武装勢力から鹵獲したロシア製兵器の供与を提案しました。じつは、鹵獲兵器の活用は、イスラエルにとって十八番ともいえる芸当なのです。

じつは日本にも「鹵獲兵器」の売り込みが…!

 資源が乏しく、先進諸国に比べれば重工業の製造基盤にも劣るイスラエルは建国以来、鹵獲兵器をただスクラップにするのではなく、自国の防衛や外交の道具として有効活用してきました。

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バカウの第95航空基地で最終飛行を行ったルーマニア空軍のMiG-21戦闘機(画像:ルーマニア国防省)。

イスラエルが建国される以前、パレスチナにはイギリス軍が駐留していました。同軍はイスラエル建国にともなって撤退する際、不要になったM4「シャーマン」戦車などをスクラップにして捨てていったのですが、建軍まもないイスラエル国防軍はこれらのスクラップをかき集め、稼働できるM4シャーマン戦車などを手にしています。

中東戦争などの武力紛争においては、イスラエルは旧ソ連がアラブ諸国に供与したT-54/55戦車を大量に鹵獲しています。それらを改造した「チラン」戦車をイスラエル国防軍の戦力に加えたうえ、国産の「メルカバ」戦車の普及で不要になったチランはウルグアイへ売却。さらには友好的だった南レバノン軍へ供与し、一部は重装甲の兵員輸送車「アチザリット」へと再改造され、イスラエル国防軍で使用されています。

 中東戦争では戦車だけでなく、MiG-21などの旧ソ連製戦闘機も大量に鹵獲されています。イスラエルはそのMiG-21を徹底して分析し、得た知見を産業にもつなげました。イスラエル企業のIAI(Israel Aerospace Industries)が、ルーマニア空軍のMiG-21を「ランサー」に改修する仕事を獲得しています。

さらに、イスラエルは日本にもこうした売り込みを行っています。筆者が航空自衛隊の元将官から聞いた話なのですが、1980年代、中東戦争などで鹵獲したMiG-21などを、空対空戦闘訓練で使用する仮想敵機として航空自衛隊に提案しにきたことがあったとか。

このときのMiG-21のお値段は「高級なメルセデス・ベンツ数台分くらい」とのことで、結局この話は大蔵省(当時)が購入予算を認めてくれずにお流れになったのだそうですが、元将官の方は「今でも買っときゃよかったと思う」と述べておられました。

【魔改造すぎる!?】イスラエル軍が運用してきた“敵の兵器”たち(写真)

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