「うちにある敵の兵器、いる?」 イスラエルが「拾った」ロシア製兵器をウクライナに供与提案 じつは“伝統的なやり方”って!?
イスラエルは2025年1月27日、ウクライナに対してイスラエルがレバノンの武装勢力から鹵獲したロシア製兵器の供与を提案しました。じつは、鹵獲兵器の活用は、イスラエルにとって十八番ともいえる芸当なのです。
「あのミサイル? アメリカに返しましたよ」→ウクライナに到着
純粋な鹵獲兵器ではないのですが、イスラエルがアメリカから供与された「パトリオット」地対空ミサイルシステムもウクライナに供与されたようです。
これはイスラエルが1991(平成3)年の湾岸戦争の後、アメリカから供与を受けたパトリオットです。その後、国産の「アロー」ミサイルシステムなどの普及で不要となり、予備として保管していました。
ヒズボラから鹵獲したロシア製兵器の供与はまだ行われていませんが、パトリオットはポーランド経由でウクライナへの引き渡しが完了しているようです。実績のあるパトリオットのウクライナへの供与は、ロシアの機嫌を損ねてしまいそうな話ではあるものの、イスラエル政府当局者は海外メディアのインタビューに「たしかにパトリオットはアメリカに返却したが、返却したパトリオットがその後どうなったのかは、我々(イスラエル)の知るところではない」と述べ、とぼけています。
イスラエルという国家に対しては、様々な意見があってしかるべきだと思いますが、鹵獲兵器や供与兵器すら自国の利益にしようとする姿勢には、学ぶべきところがあると筆者には思えます。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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