「速さ」から舵を切った? 国鉄・JRと勝負し続ける近鉄「名阪特急」 競争の80年
名古屋~大阪間を結ぶ近畿日本鉄道の名阪特急は、近鉄で最も歴史のある特急列車です。国鉄特急、東海道新幹線といった強敵を相手に、独自の魅力を追求してきました。
強敵、新幹線の登場
この時点では近鉄が優位で、名阪間の近鉄シェアは69.4%に達します。しかし1964(昭和39)年の東海道新幹線開通は、近鉄に大打撃を与えました。新幹線での所要時間は開業時で1時間31分。翌年からは1時間8分となりました。
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1966(昭和41)年には、近鉄のシェアは19%まで減少。さらに新幹線「ひかり」の値下げや自由席設置も影響し、名阪甲特急はわずか2両編成まで縮減されます。近鉄は1967(昭和42)年に「スナックコーナー」を設けた12000・12200系電車「スナックカー」を投入するも、苦しい時期でした。
しかし、1976(昭和51)年より国鉄が毎年値上げを繰り返したことで、名阪特急は復活。5~8両編成の列車も出現するほど、乗客が回復します。
決定的だったのは、1988(昭和63)年の21000系電車「アーバンライナー」の投入でした。大手私鉄の最高速度である120km/h運転を実現したことにより、大阪難波~近鉄名古屋間が6分短縮の2時間5分、鶴橋~近鉄名古屋間は1時間59分となります。
21000系は、1+2列で豪華な「デラックスカー」など進化したサービスが好評を博し、名阪ノンストップ特急は21000系に置き換えられます。1994(平成6)年からは私鉄最高の130km/h運転も行われ、大阪難波~近鉄名古屋間は2時間4分に短縮されます。
2002(平成14)年からは、全席禁煙で「ゆりかご型リクライニングシート」を採用した21020系電車「アーバンライナーnext」が2編成投入されました。その後、既存の21000系がリニューアルされ、21020系とほぼ同一仕様の「アーバンライナーplus」となっています。
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