赤字ローカル線に“起死回生の大型投資!”→あっさり「廃線」なぜ!? 熱狂の時代の跡を歩く
赤字ローカル線のてこ入れ策としてよく浮上するアイデアが観光列車の運行です。ところが導入しても鳴かず飛ばずで、2年あまりで廃線になった鉄道もあります。観光列車は決して“万能薬”ではないと語りかけるような遺構を訪ねました。
レンタサイクルはあるけど「徒歩!」
筆者は土曜日の15時40分、高架駅になっているJR本四備讃線(瀬戸大橋線)の児島に到着しました。1階の改札口を抜けると、前にある児島駅観光案内所の窓口に「レンタサイクル」の張り紙がありました。普通自転車ならば1日300円で借りられ、ペダルをこいで海風を浴びながら「風の道」を駆けるのは心地よさそうです。

しかし、案内所の営業時間は16時半までで、下津井まで50分で往復して返却するのは時間的に厳しいため断念しました。
係員の方が「近くの倉敷市児島産業振興センターのレンタサイクルは17時まで借りられますよ」と教えてくれましたが、スマートフォンの地図アプリで下津井電鉄児島駅跡の場所を探すのに気を取られて見落としました。筆者の失策で「徒歩」が確定しました。
児島駅跡から続く真砂土が敷かれた道は歩きやすく、途中には架線柱や駅のプラットホーム跡が残っています。柵には枕木を活用しており、それらを眺めるだけで“鉄分”補給ができました。
ホームに隣の駅までの距離を記した駅名標があるなど案内もしっかりしており、沿道にはパンジーの花などが咲いています。道中で十数人の散歩をしている人とすれ違い、遊歩道として地域に溶け込んでいることを実感しました。
旧児島駅の2kmあまり先からは上り坂になります。本四備讃線の高架橋をくぐると、瀬戸内海が眼下に広がる琴海駅跡に着きました。ここは児島競艇場の最寄り駅でした。
琴海から雑木林の中を0.9km進むと、鷲羽山駅跡に。旧ホームからは傾き始めた太陽が照らす瀬戸大橋と、瀬戸内海の島々を一望できました。駅名標には次の東下津井駅跡まで0.4kmと記しており、「あと少しだ」と奮起して再び歩き出しました。
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