塀の向こうに日本の蒸気機関車!? ←見せてもらいました! 往年の「傑作ディーゼルカー」も来ているハズ、どこに?

タイ国鉄のマッカサン工場はバンコクの都市部に存在し、客車、気動車、機関車の整備を行う中枢です。工場内には戦時中の日本から渡ったC56形蒸気機関車の姿も。特別に見学させてもらいました。

太平洋戦争中に渡った日本の蒸気機関車

 ところで、タイ国鉄は日本の車両と長く深いつながりがあります。古くは太平洋戦争中に日本から渡ったC56形や、戦中から戦後にかけて導入されたミカド形などの蒸気機関車、1950年代からタイ向けに製造された客車や一般形気動車です。現在でも非冷房一般形客車(2等車、3等車)と3等気動車は、日本メーカーが製造したタイ国鉄向け車両が第一線で活躍しており、日本の中古車の例としては、ブルートレインこと14系と24系客車も、一部の定期列車と季節臨時運行に活躍しています。

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客車と気動車担当工場の前に並ぶ車両。左から3等客車、荷物車、韓国大宇製ADR型特急気動車、東急車輛製ATR型と思しき車両(マッカサン工場、許可を得て撮影)

 タイ国鉄の車両は、鉄道開通黎明期より輸入に頼ってきましたが、1961(昭和36)年からは客車と貨車の製造がマッカサン工場で開始されました。台車類は輸入品に頼ったものの、国産の鉄道車両が誕生したのはタイ鉄道史のトピックです。

 しかし車両の国産化は長く続かず、1984(昭和59)年で製造は中止となりました。原因は、工場での車両製造が小ロットで割高となってしまったこと。以後、現在まで車両は外国製を輸入しています。

 タイ向けの輸出車両は、新車であれば最初からタイ国鉄の1000mmゲージ規格で造られますが、中古ではそうはいきません。日本製の中古車は1990年代後半から輸入していますが、すべて車体を整備する際に軌間を変える改造を行っています。

 マッカサン工場はまさにその拠点です。中古車両では日本の1067mm軌間を改軌し、車体側は連結面、塗装、車内設備などをタイ国鉄仕様へと替えたのち、各路線へ配属されます。

 マッカサン工場は東線のマッカサン駅と壁ひとつ隔てています。工場見学は簡単にできるかといえばそんなことはなく、アポなしで行くと門前払いされてしまいます。今回は特別に見学させていただきましたが、工場内の作業光景は撮影禁止でした。

 マッカサン駅のホームから壁越しに垣間見える車両は廃車体が多く、どれも気になる存在ですが、筆者(吉永陽一:写真作家)が一番注目したのはC56形蒸気機関車です。太平洋戦争で日本から輸送されたうちの1両で、塚本和也著の『遥かなりC56』によると、タイ国鉄での車番は733、C56 41号機。筆者が2011(平成23)年に訪タイした折にも見かけました。近年に詰所を設けたためか、以前よりも若干西側へ移動させられているようです。タイ国内に保存されているC56形の中でも、滅多に見ることができない1両となっています。

壁向こうの車両の正体は? 許可を得て撮影(現場写真)

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