塀の向こうに日本の蒸気機関車!? ←見せてもらいました! 往年の「傑作ディーゼルカー」も来ているハズ、どこに?

タイ国鉄のマッカサン工場はバンコクの都市部に存在し、客車、気動車、機関車の整備を行う中枢です。工場内には戦時中の日本から渡ったC56形蒸気機関車の姿も。特別に見学させてもらいました。

いざ、工場内部へ

 工場は機関車、客車、気動車と建屋が分かれており、トラバーサが4基備わっています。最も古い建物は1922年築のレンガ棟で、現在は倉庫ですが、以前は蒸気機関車の整備場でした。その隣には王国らしい存在として、タイ王室専用の車両、いわゆる御料車が保管されています。

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レンガ棟の最も古い建物の横では、御料編成が丁重に保管されていた(マッカサン工場、許可を得て撮影)

 見学した建屋では、日本で製造されたタイ向けの一般形気動車や、JR北海道から譲渡された特急気動車のキハ182形が整備中でした。台車、車体、機関部、連結器、ブレーキなど、整備エリアはレーン別に分かれており、車輪の圧入などは別の工場で行っています。

 さて、日本の中古車両が整備されているというと、日本人の鉄道ファンであれば気になる車両として、キハ40系と48系の存在が挙げられるでしょう。

 これらはJR東日本の秋田地区を走っていた車両で、タイへ陸揚げされてから長らくレムチャバン港で放置されていました。いよいよ整備に向けて動き出すことがタイ国鉄で決まり、レムチャバン港において3月半ばに車体から台車を外し、先行して台車のみ貨車へ積み込んで、工場へ運ばれました。改軌作業を終えた台車は再びレムチャバン港へ戻して車体へ取り付け、日本の甲種輸送のように機関車牽引でマッカサン工場へ回送されます。

 近々キハ40系と48系が工場入りすると思われ、修理と改修が終わり次第、営業運用に就く予定とのことです。どのような仕様になるのかは、これからの楽しみとなります。

 マッカサン工場はイチ旅行者にとって見学のハードルが高く、趣味でフラッと訪れるのは困難です。しかし2024年10月には、工場を一般開放のうえハロウィンイベントを開催し、遺棄された車両を“怖く”仕上げて来場者の目を楽しませました。東線に沿うように留置されている車両は事故車や廃車体が目立ちますが、敷地の中程には歴代の車両が美しいまま保存されています。

 また工場では、年末に仏教行事タンブン(喜捨)があり、僧侶の読経と托鉢が行われます。周辺に住む人々も多く訪れて、生活用品や飲食物などを僧侶へ捧げ、年末の工場はにぎやかなひと時を迎えます。その姿は地域に根付いた存在に見えます。マッカサン工場はタイ国鉄の中枢として、これからも活躍していくことでしょう。

壁向こうの車両の正体は? 許可を得て撮影(現場写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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