近鉄が目指す「夢の“二刀流”直通列車」実はもう走ってる!? 日系メーカー開発 米の“新幹線より複雑“な電車とは

近鉄が2つの異なる集電方式に対応した「二刀流電車」の開発を検討しており、登場後は脚光を浴びそうです。実は同様の車両は、日系メーカーの手で作られ、海外ですでに走っています。

どこまでも柔軟に対応する「二刀流の三冠王」

 ニューヘイブン線は、グランドセントラル駅と並ぶマンハッタンの主要駅であるペンシルベニア駅とのあいだを2027年から直通運転する計画で、開始後はM-8がニューロシェル駅から分岐してアムトラックが通っている線路を通ります。

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M-8の車内。ニューヨークの都市圏交通公社(MTA)傘下のメトロノース鉄道ニューヘイブン線で走る(大塚圭一郎撮影)。

 この実現には、集電方式の違い、直流と交流の違い、電圧の違いだけでなく、同じ集電方式でも微妙に異なる方法にまで対応する必要があるのです。

 ペンシルべニア駅までの路線の一部区間は直流750ボルトの第三軌条から集電しますが、この区間では車両の集電靴を第三軌条の上部に接触させて電気を取り込む方式を採用しています。既存のグランドセントラル―ペラム付近で第三軌条の下部から集電しているのとは逆の方式です。

 M-8の集電靴は「第三軌条の上からも、下からも電気を取り込むことができる」(川重グループ関係者)という“特技”まで持っているのです。

 2つの集電方式と交流・直流、そして集電靴の2つの方法に対応したM-8は「二刀流の三冠王」と呼ぶことができ、メトロノース鉄道の乗務員は「M-8は鉄道車両の(超高級車)ロールスロイスだ」と胸を張っていました。

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手のプレーが脚光を浴びているアメリカで、日系メーカーが生み出した“マルチプレーヤー”の電車が持ち前の高性能で八面六臂の活躍を見せていることはとても喜ばしいことです。日本でもユニークな「二刀流」電車が走り出す日が楽しみです。

【写真】日系メーカーが開発した「新幹線より複雑な“二刀流電車”」

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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