なぜ熊本市電の追突事故起きた? 路面電車に安全システム付け難いワケ “ならでは”の理由も
自動車と比べ鉄道は、列車どうしの事故は圧倒的に少ない傾向にありますが、どのような方法で安全運行を保っているのでしょうか。熊本市電で発生した追突事故を例に考察してみます。
電車がぶつからない仕組み
熊本市電の熊本城・市役所前停留所で2025年3月25日、電車どうしの追突事故が発生しました。自動車と比べると、列車の追突事故は全くといってよいほど聞きませんが、ではどのような方法で安全運行が保たれているのでしょうか。

日本全国の鉄道では数多くの列車が運行されていますが、これらの列車が互いにぶつからずに走行するため、列車どうしで安全を確保した間隔が厳守されています。「閉そく」という考え方です。
閉そくでは線路を一定の区間に区切り、その区間内には1本の列車だけを走らせると取り決めます。こうすることで、ひとつの閉そくには複数の列車は存在せず、列車どうしの正面衝突や追突を避けられます。
線路を区切った箇所には信号機を設け、線路に列車があることを検知する仕組みを備えます。列車が存在している際はそこを赤信号としておけば、ほかの列車が閉そくへ進入することはなくなり、事故は起こり得ません。
しかし、何らかの事情で運転士が信号を守らなかった場合、事故が起こる原因となってしまいます。このため、信号機と連動した保安装置を設け、列車を減速させたり停止させたりすることで事故を未然に防ぐようにしています。この保安装置としては、ATS(Automatic Train Stop:自動列車停止装置)やATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)が有名でしょう。
また、信号機は線路脇に置かれることが多いのですが、地下鉄のように信号機を設置するのが難しかったり、新幹線のような高速鉄道で信号機の目視が難しかったりする場合もあります。こういった鉄道では、運転台に信号を表示する車内信号方式を採用しています。
コメント