80年前にポルシェが作った「世界一重い戦車」とは? 最新技術詰め込むも実戦投入されなかったワケ

2023年現在、世界で最も重い戦車は、第二次大戦中に作られた「マウス」とされています。しかし同車は試作のみで実戦に投入されたことはありません。なにが原因だったのでしょうか。

重武装・重装甲の実現を目指したが大きな問題が…

 なぜここまで重い戦車が生まれたかというと、直接的には1941年6月に独ソ戦が始まったことが原因です。

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「マウス」車体後部から(画像:クビンカ戦車博物館省)

 独ソ戦序盤、ドイツはT-34中戦車やKV-1重戦車など、対戦車戦を考慮した合理的な防御力を誇るソ連戦車に手を焼いていました。そこで同年11月には、早くもヒトラーがこの状況を打開するため、総統官邸における会議でポルシェ博士にこうしたソ連の優位を全て覆す、超重戦車を作るように打診したといわれています。海の対艦巨砲主義のように火力と装甲に優れる戦車を投入して、ソ連戦車を蹴散らそうと考えたワケです。

 普通なら実現は困難かと思ってしまいますが、当時ソ連戦車に受けた衝撃は強烈だったようで、ヒトラーは1943年までにソ連軍にも超重戦車が投入されると思っていました。それを危惧した結果、超重戦車の開発に着手したという説が有力なようです。なお、軍需大臣アルベルト・シュペーアは度々、この計画には反対していました。

 試作された「マウス」は砲塔に128mmと同軸別に副砲として75mm戦車砲を装備していました。当時と使用する砲弾や砲身の作りも違いますが、単純に戦車砲の大きさだけで比べると、現在の西側陣営でスタンダード戦車砲のひとつである「ラインメタル120mm L44」よりも大きな口径でした。当時の戦車ならば、どの車両も相手の射程距外から一方的に撃破できる能力を持っていました。砲身込みの全長は10m、全幅3.6m、全高は3.6mと、戦車というよりは“動くトーチカ”といったスケールです。

 装甲の厚さも規格外で、砲塔前面は最大で220mmから240mm、最も薄い底面でも60mmです。ちなみに、この低面の装甲だけで、当時アメリカ軍ほか連合国軍で使用されていたM4中戦車「シャーマン」の側面装甲50mmよりも分厚くなっています。

 これだけの重武装・重装甲を実現した同戦車ですが、当然すぎる問題が発生します。重すぎて橋を渡れなかったのです。

【い、威圧される】これが、超重戦車「マウス」です(写真)

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